GMI 2024|奥 謙太郎|Global Medical Institute グローバルセミナー 第1〜5回の記録

学会・セミナー

ヒルズグレイスクリニック院長 奥謙太郎

監修・執筆:奥 謙太郎

ヒルズグレイスクリニック 院長

皮膚科医/米国レーザー医学会(ASLMS)専門医。エネルギーデバイス治療を専門とし、考案したThermal Thread Technique®はLasers in Surgery and Medicine(2024)に掲載・同誌Top Cited Articleに選出。

GMI 2024|奥 謙太郎|公開 2024年12月31日(2024年のGMIセッション・トピック6件を1本の記録にまとめたものです。各回の詳しい記録は、それぞれの記事でご覧いただけます。)

この記事の要点

2024年、ヒルズグレイスクリニック内のGMI(Global Medical Institute)は計5回のグローバルセミナーを開催し、マレーシア、シンガポール、インドネシア、フィリピン、香港、中国、タイなど各国・地域の医師にピコシュアプロやポテンツァなどの理論と実践を伝えました。研修は、機器や皮膚科学の理論を学ぶ座学と、実際の施術を見るライブデモンストレーションを組み合わせた体系的な構成が特徴です。同年11月には、Cynosure社よりプレステージクリニックおよびGlobal Training Facilityの認定を受けたことに加え、2つのアワードを受賞したと発表されています。また、プリセットモードに頼らず患者ごとにマニュアルモードで治療を設計する考え方が、各セッションを通じて共通して共有されています。

はじめに

GMI(Global Medical Institute)は、ヒルズグレイスクリニック内に設立された教育機関で、美容医療の世界基準の向上を目標に、受講医師のニーズに応じた理論と実践の両面からの包括的なトレーニングを提供しています。座学でエネルギーベースデバイス(EBD、光や高周波などのエネルギーを用いる医療機器)の科学的原理や皮膚科学の基礎を学んだのち、ライブデモンストレーションなどの実践トレーニングを行う体系的なアプローチを採用しています。所在地は神奈川県横浜市のヒルズグレイスクリニック内です。

2024年は計5回のグローバルセミナーを開き、マレーシア、シンガポール、インドネシア、フィリピン、香港、中国、タイなど、各国・地域の医師を迎えました。ピコシュアプロやポテンツァ、サイノグローの理論と実践を中心に、シミ治療や毛穴・肌質改善への応用をお伝えしています。

この年の主な出来事です。

  • 第4回セッション(中国編)では、新たにピコシュアプロを導入した中国全土の医師11名を対象に、ケーススタディ形式の実践的トレーニングが行われました。
  • 第5回セッションでは、タイから参加した医師12名のリクエストに応じ、ポテンツァ単独の研修が実施されました。
  • 2024年11月、Cynosure社よりプレステージクリニックとGlobal Training Facilityの2つの認定を同時に受けたことが発表され、同社から2つの認定を同時に受けた事例として紹介されました。
  • 同時期に、臨床教育における功績を評価するClinical Education Recognition Awardと、臨床研究への貢献が認められたClinical Research Recognition Awardの2つの賞も受賞しました。
  • 各セッションを通じて、プリセットモードに頼らずマニュアルモードで患者ごとに治療を組み立てる考え方が繰り返し共有されました。

この記事は、当時グレイスジャーナルに書いたGMIセッションの報告記事を、1本にまとめ直したものです。

各セッションの内容は当時の報告に基づいています。治療の効果や経過には個人差があり、扱った治療の多くは自由診療です。

1. 2024年のGMIセッション一覧

2024年に開いた第1〜5回のグローバルセミナーと、教育施設としての認定を日付順に並べました。項目名から、それぞれの回の内容へ移動できます。

2024年のGMIセッション一覧(院長 奥 謙太郎)
日付 学会・イベント 開催地 内容
6月13日 GMI|第1回グローバルセミナー ヒルズグレイスクリニック(横浜あざみ野)|マレーシア・シンガポール・インドネシアの医師が参加 ピコシュアプロ・ポテンツァ・サイノグロー
6月27日 GMI|第2回 グローバルセミナー ヒルズグレイスクリニック(横浜あざみ野)|インドネシア・フィリピン・マレーシアの医師が参加 シミのピコシュアプロと毛穴のポテンツァ
9月19日 GMI|第3回 グローバルセミナー ヒルズグレイスクリニック(横浜あざみ野)|香港・マレーシア・インドネシアの医師が参加 毛穴治療の針の角度とRFエネルギー調整
9月26日 GMI|第4回グローバルセミナー|中国編 ヒルズグレイスクリニック(横浜あざみ野)|中国全土から医師11名が参加 中国の医師11名とピコシュアプロの研修
11月7日 GMI|第5回セッション|ポテンツァ施術の極意 ヒルズグレイスクリニック(横浜あざみ野)|タイから医師12名が参加 タイの医師12名とポテンツァ単独研修
11月24日 Cynosure社より「プレステージクリニック」と「Global Training Facility」のダブル認定 ヒルズグレイスクリニック(横浜あざみ野) 教育施設としてGTF認定を受ける

2. セッションで扱った治療

この年のGMIで繰り返し扱ったのは、次の治療です。当院での料金・リスク・承認状況は、記事の後半「治療について」にまとめています。

ピコシュアプロ(PicoSure Pro)

ピコ秒アレキサンドライトレーザー PicoSure Pro(ピコシュアプロ)の本体

PicoSure Proピコシュアプロ

ピコ秒(1兆分の1秒)単位でレーザーを照射する機器です。先代のピコシュアが自動設定を多く使う設計だったのに対し、ピコシュアプロは、レーザーの強さ・深さ・広がり・周囲への影響を、術者が自ら設定する必要があります。GMIでは、ポテンツァの「オートマ」と「マニュアル」にたとえて、ピコシュアが「オートマ」なら、ピコシュアプロは「マニュアル:レーシングモード」にあたるとお話ししました。

2024年は、第1回でサイノグローとあわせて扱い、第2回ではシミ治療へのピコシュアプロとピコシュアの応用をテーマにしました。第4回は、中国でピコシュアプロを導入した医師11名を対象に、理論講義のあとケーススタディを行い、「この色素斑は何か」「どこに存在しているのか」「なぜその色調になり、どのように破壊できるのか」「肌を傷つけずに後処理を行う方法は」という問いを、症例ごとに繰り返し検討しました。必要な回数や効果には個人差があります。

ポテンツァ(POTENZA)とサイノグロー

ピコ秒アレキサンドライトレーザー PicoSure Pro(ピコシュアプロ)の本体

PicoSure Proピコシュアプロ

マイクロニードルRF ポテンツァ(講演当時の機種)の本体

POTENZAポテンツァ講演当時の機種

ポテンツァは、極細の針を皮膚に入れながら高周波(RF)を流すマイクロニードルRFです。高周波には流れやすい状態(部位)と流れにくい状態があり、どの層に針を進め、どのような性質の高周波を使うかを決めることが出発点になります。目的に応じて、コラーゲン(肌のハリを支える成分)を焦がすのか、活性化するのかを調整する、繊細な作業だとお伝えしました。第1回では、ピコシュアプロとポテンツァを組み合わせる治療法「サイノグロー」も扱いました。

2024年は、第2回で毛穴や肌質改善への応用を、第3回で毛穴治療における針の角度とRFエネルギーの調整を扱い、第5回はタイの医師12名のリクエストに応じたポテンツァ単独の回になりました。プリセット(あらかじめ用意された設定)の「オートマ」モードでは一人ひとりの肌に合わせきれないため、テイラーメイドの設定ができる「マニュアル」モードの考え方を共有し、設定が適切でないと色素沈着や肌のへこみにつながるリスクにも触れました。現在、当院の公式案内でご紹介しているポテンツァは次世代機のポテンツァプライムで、国内未承認医療機器です。効果や経過には個人差があります。

BEAUTY NAVI(hillspremium.com)は、当院で治療を受けた患者様の口コミを掲載するサイトです。掲載内容は個人の感想で、効果や感じ方には個人差があります。

3. 各セッションの記録

GMI第1回グローバルセミナーで行われた研修の様子

GMI|第1回グローバルセミナーの様子GMI|第1回グローバルセミナーの様子GMI|第1回グローバルセミナーの様子

2024年6月13日

GMI|第1回グローバルセミナー

  • 開催地ヒルズグレイスクリニック(横浜あざみ野)|マレーシア・シンガポール・インドネシアの医師が参加
  • 登壇院長 奥謙太郎

テーマ ピコシュアプロ・ポテンツァ・サイノグローの理論と実践

ヒルズグレイスクリニック内に設立されたGMI(Global Medical Institute)の初回セッションとして、マレーシア、シンガポール、インドネシアの医師を招き、ピコシュアプロ(最新型ピコレーザー)、ポテンツァ(RFマイクロニードリング、高周波を使った針治療)、サイノグロー(両者を組み合わせた治療法)を効果的に使用するための科学的理論と実践的な技術を1日で学ぶ研修を行いました。

理論と実践を組み合わせた1日研修を通じて、参加医師が機器治療の科学的な理解を深める機会となりました。

GMI第2回グローバルセミナーの研修風景

GMI|第2回 グローバルセミナーの様子GMI|第2回 グローバルセミナーの様子GMI|第2回 グローバルセミナーの様子

2024年6月27日

GMI|第2回 グローバルセミナー

  • 開催地ヒルズグレイスクリニック(横浜あざみ野)|インドネシア・フィリピン・マレーシアの医師が参加
  • 登壇院長 奥謙太郎

テーマ シミ治療へのピコシュアプロ応用と、毛穴・肌質改善のためのポテンツァ応用

第1回から2週間後に開催された第2回セッションでは、インドネシア、フィリピン、マレーシアの医師を迎え、シミ治療に対するピコシュアプロとピコシュアの効果的な応用方法、毛穴や肌質改善のためのポテンツァの応用法をテーマに研修を行いました。

レーザーとニードルRFの違いを理解した上で治療を設計する重要性を、対話形式のセッションを通じて学ぶ機会となりました。

GMI第3回グローバルセミナーでの研修の様子

GMI|第3回 グローバルセミナーの様子GMI|第3回 グローバルセミナーの様子GMI|第3回 グローバルセミナーの様子

2024年9月19日

GMI|第3回 グローバルセミナー

  • 開催地ヒルズグレイスクリニック(横浜あざみ野)|香港・マレーシア・インドネシアの医師が参加
  • 登壇院長 奥謙太郎

テーマ レーザー理論とニードルRFの組み合わせ、毛穴治療における針の角度・RFエネルギー調整

3回目となるこのセッションでは、香港、マレーシア、インドネシアから医師を迎え、レーザー理論とニードルRF(高周波を用いた針治療)の組み合わせ方、毛穴治療における針の角度やRFエネルギー調整の実践をテーマに研修を行いました。

プリセットモードに頼らず、患者ごとにマニュアルモードで治療を組み立てる考え方を共有するセッションとなりました。

GMI第4回グローバルセミナー(中国編)での研修の様子

GMI|第4回グローバルセミナー|中国編の様子GMI|第4回グローバルセミナー|中国編の様子GMI|第4回グローバルセミナー|中国編の様子

2024年9月26日

GMI|第4回グローバルセミナー|中国編

  • 開催地ヒルズグレイスクリニック(横浜あざみ野)|中国全土から医師11名が参加
  • 登壇院長 奥謙太郎

テーマ 進化した高性能レーザー「ピコシュアプロ」の理論と実践、ケーススタディによる応用力育成

第4回セッションでは、中国で新たにローンチされたピコシュアプロを導入した11名の医師を対象に、実践的な研修を行いました。

ピコシュアプロを使いこなすには、体系的な理論学習とケーススタディによる応用力の育成が欠かせないことを伝えるセッションとなりました。

GMI第5回セッションでのポテンツァ研修の様子

GMI|第5回セッション|ポテンツァ施術の極意の様子GMI|第5回セッション|ポテンツァ施術の極意の様子GMI|第5回セッション|ポテンツァ施術の極意の様子

2024年11月7日

GMI|第5回セッション|ポテンツァ施術の極意

  • 開催地ヒルズグレイスクリニック(横浜あざみ野)|タイから医師12名が参加
  • 登壇院長 奥謙太郎

テーマ ポテンツァ単独セッション、高周波RFの理解とマニュアルモードによる施術精度の向上

第5回セッションは、タイから参加した12名の医師のリクエストに応じて開催された「ポテンツァ」単独の研修です。

ポテンツァの性能を引き出すには、高周波RFの特性理解とマニュアルモードでの個別対応が重要であることを共有するセッションとなりました。

Cynosure社によるダブル認定を紹介する画像

Cynosure社より「プレステージクリニック」と「Global Training Facility」のダブル認定の様子Cynosure社より「プレステージクリニック」と「Global Training Facility」のダブル認定の様子Cynosure社より「プレステージクリニック」と「Global Training Facility」のダブル認定の様子

2024年11月24日

Cynosure社より「プレステージクリニック」と「Global Training Facility」のダブル認定

  • 開催地ヒルズグレイスクリニック(横浜あざみ野)
  • 登壇院長 奥謙太郎

テーマ Cynosure社によるプレステージクリニック認定とGlobal Training Facility認定、2つのアワード受賞

ヒルズグレイスクリニックは、CynosureLutronic社より「プレステージクリニック」と「Global Training Facility」の2つの認定を同時に受けたことが発表されました。

GMIでの教育活動が国際的に評価され、プレステージクリニックとGlobal Training Facilityという2つの認定、および2つのアワード受賞につながったことが紹介されています。

TREATMENT INFORMATION

治療について

施術名
この記事のGMIセッションで扱った治療:サイノグロー(ピコシュアプロ+ポテンツァプライム)、ピコシュアプロ、ポテンツァプライム(2024年当時は旧機種のポテンツァ)
診療区分
自由診療(保険適用外)
使用量・部位
この記事でご紹介したのは医師向けのGMIセッションの内容で、特定の症例の治療内容を示すものではありません。照射の範囲・設定・回数、組み合わせるかどうかは、診察で肌の状態を確認したうえで個別に決めます。
公式料金の目安
サイノグローで使用するマイクロニードルRFポテンツァプライムの本体

サイノグロー(ピコシュアプロ+ポテンツァプライム)

全顔 1回 181,500円

ピコ秒アレキサンドライトレーザー PicoSure Proの本体

PICOSURE pro

全顔 1回 82,500円

マイクロニードルRF ポテンツァプライムの本体

ポテンツァプライム

全顔 1回 154,000円

上記はクリニック公式案内の料金の目安です(税込・2026年10月23日時点)。サイノグローは、ピコシュアプロとポテンツァプライムを同じ日に組み合わせる場合の料金です。ピコシュアプロで麻酔を行う場合は、麻酔代が別途かかります。診察・診断料は施術費用とは別に発生します(初めてご来院の方11,000円、前回のご来院から24か月以内の方1,100円、25か月以上の方11,000円)。料金や内容は変更される場合があります。

主な副作用・リスク
PicoSure Proでは、皮膚の不快感、赤み、腫れ、点状出血、内出血、水疱、かさぶた、膿疱、色素沈着、色素脱失、熱傷、瘢痕、感染、アレルギー反応などが起こることがあり、シミの部分が一時的に濃く見えることがあります。ポテンツァプライムでは、照射時の痛み、一時的な赤み・むくみ・点状出血・かさぶた・内出血のほか、感染や色素沈着が起こることがあります。妊娠中・授乳中の方、ペースメーカー等の医療機器を体内に埋め込んでいる方は、照射治療を受けられない場合があります。複数の機器を組み合わせる治療の有効性・安全性は十分に確立されていません。適応、回数、ダウンタイムには個人差があります。
未承認医療機器に関する事項
【ポテンツァプライム/POTENZA PRIME・Jeisys Medical Inc.(韓国)】本治療に使用するポテンツァプライムは、日本国内において医薬品医療機器等法上の承認を得ていない未承認医療機器です。ポテンツァプライムは、製造元からの依頼にもとづき、当院で評価を目的として使用しています。旧機種のポテンツァは、国内販売元であるサイノシュアー・ルートロニック株式会社を通じて入手しています。同じシリーズの機器として、Jeisys Medical Japan株式会社の「ポテンツァBASIC」(承認番号 30500BZI00042000、一般的名称:治療用電気手術器)が、2023年12月に「審美性の改善のための皮膚のフラクショナルリサーフェシングを目的とした軟組織の凝固及び蒸散」を使用目的として承認されています。当院で使用しているポテンツァプライムは、この承認品ではありません。旧機種のポテンツァは、米国FDAの510(k)クリアランス(K192545ほか:皮膚科・一般外科の処置における電気凝固と止血)と、韓国MFDS(食品医薬品安全処)の承認を受けています。ポテンツァプライムとしての各国の承認状況は、現在確認中です。紅斑、腫脹、感染、色素沈着、熱傷などが報告されています。【PicoSure Pro】国内承認医療機器です(承認番号 30500BZX00079000/一般的名称:アレキサンドライトレーザ/使用目的又は効果:体表面の表在性及び深在性良性色素性病変の治療、又は外傷性並びに入墨による刺青の蒸散及び除去。ニキビ痕・毛穴・小ジワ・肌質を目的とする照射は適応外使用です)。

よくある質問

GMI(Global Medical Institute)とは何ですか?

GMI(Global Medical Institute)は、横浜あざみ野のヒルズグレイスクリニック内に設立した、当院の医師向けの教育機関です。理論に裏打ちされた安全で効果的な医療を提供できる医師の育成を掲げ、座学で機器の理論や皮膚科学を学んだあと、ライブデモンストレーションなどの実践トレーニングを行っています。2024年には、当院がCynosure社からGlobal Training Facility(医師に教育を行う施設)の認定を受けました。GMIは当院が設立した教育機関で、この認定は当院が受けたものです。

2024年のGMIでは、どんなセッションを行いましたか?

2024年は第1〜5回のグローバルセミナーを開きました。6月の第1回(マレーシア・シンガポール・インドネシア)はピコシュアプロ・ポテンツァ・サイノグロー、第2回(インドネシア・フィリピン・マレーシア)はシミ治療へのピコシュアプロと毛穴・肌質改善へのポテンツァ、9月の第3回(香港・マレーシア・インドネシア)はレーザー理論とニードルRFの組み合わせ方でした。続く第4回は中国の医師11名とピコシュアプロ、11月の第5回はタイの医師12名とポテンツァ単独の研修を行いました。

GMIの研修は、どのような形式で行いましたか?

午前に機器の科学的な原理や皮膚科学の基礎を学ぶ理論講義、午後にその理論を実際の施術で見るライブデモンストレーションという、1日がかりの構成から始めました。座学では、出た質問や意見を参加者全員やグループで議論し、知識の背景を掘り下げました。第4回では症例をもとにしたケーススタディを、第5回では「あなたならどのように治療するか」をテーマにした議論も行いました。皮膚科学・組織学・物理学・生物学の知識が前提になるため、研修の対象は医師に限っていました。

なぜ、プリセットモードではなくマニュアルモードを重視したのですか?

肌の厚みや状態は一人ひとり異なり、機器にあらかじめ用意された設定(プリセット)では、それぞれの肌に合わせきれないことがあるためです。第3回と第5回では、ポテンツァを例に、どこまで熱を届かせたいのか、どこを避けたいのかを考えて設定するマニュアルモードの考え方をお伝えしました。設定が適切でないと、熱が意図しない部分に作用し、色素沈着や肌のへこみにつながるリスクがあることにも触れました。効果や経過には個人差があります。

ピコシュアプロのセッションでは、何を伝えましたか?

ピコシュアプロは、レーザーの強さ・深さ・広がり・周囲への影響を術者が自ら設定する機器で、従来のレーザーと同じ感覚では扱えないことをお伝えしました。第4回では、中国でピコシュアプロを導入した医師11名と、色素斑の種類、存在する深さ、その色調になる理由と破壊の方法、肌を傷つけない後処理の方法を、ケーススタディで繰り返し検討しました。肌の状態・シミの性質・レーザーの特性をすべて考え合わせて治療を組み立てるのが、医師の役割だという考え方です。必要な回数や効果には個人差があります。

Global Training Facilityの認定とは何ですか?

2024年11月に、当院がCynosure社から受けたことを公表した認定です。当院の教育機関であるGMIが、世界各国の医師を対象に技術の教育を行う施設として選ばれました。GMIはヒルズグレイスクリニック内に当院が設立した教育機関で、この認定は当院が受けたものです。

GMIで扱った治療は、ヒルズグレイスクリニックで受けられますか?

GMIは医師向けの研修で、患者様が受講するものではありません。セッションで扱ったピコシュアプロ、ポテンツァプライム(2024年当時は旧機種のポテンツァ)、サイノグローは、横浜あざみ野のヒルズグレイスクリニックの公式サイトの各治療ページでご案内しています。いずれも自由診療(保険適用外)で、ポテンツァプライムは国内未承認医療機器です。どの治療が合うか、組み合わせるかどうか、回数や費用、起こりうる副作用は、診察で肌の状態を確かめて適応を判断したうえでご説明します。

おわりに

学会や講演でお伝えしていることは、診察室で一人ひとりの患者さんに向き合うときの考え方と同じです。機器の設定や治療の順番には理由があり、その理由を海外の医師と共有し、議論を重ねることで、当院の治療も更新されてきました。この記録が、治療を検討される方の判断材料の一つになれば幸いです。

シミ・たるみ・肌質のお悩みは、横浜あざみ野のヒルズグレイスクリニックまでご相談ください。診察のうえで、一人ひとりに合った治療の組み立てをご提案します。カウンセリングのご予約はこちら →

本記事は学会・講演活動の記録であり、特定の治療の効果を保証するものではありません。記載の治療は自由診療(保険適用外)を含み、効果・経過・副作用には個人差があります。一部の医療機器は国内未承認です。治療については診察時に適応・リスク・費用をご説明します。
奥謙太郎 院長

奥 謙太郎(おく けんたろう)/ヒルズグレイスクリニック 院長・皮膚科医

シミ・肝斑・毛穴など、肌に現れた悩みに向き合うとき、私が大切にしているのは、症状だけでなく、その症状が生じた肌の状態まで見極めることです。

レーザー・高周波・超音波などの機器は、同じ設定で照射しても、結果は一人ひとり異なります。その差を生むのは、肌が熱を受け止め、治療に応えられる状態にあるかどうか。だからこそ、必要に応じて肌が応えられる状態を整えながら、適切な治療を、適切な順序でご提案します。

この考えを治療設計の起点に据え、「Thermal Thread Technique®」として体系化し、2024年に『Lasers in Surgery and Medicine』誌へ発表しました。同論文は同誌のTop Viewed・Top Cited Articleに選出されています。高周波照射法「Mono-Bi CrossLIFT Technique」および、注入治療と医療機器を組み合わせる「CrossTALK® protocol」も『Journal of Cosmetic Dermatology』誌に発表しています。

米国レーザー医学会(ASLMS)専門医、医療法人社団光悠会理事長。Cynosure社のアドバイザリーボードには日本から唯一参加し、PicoSure Proの開発段階から携わり、第1号機による症例報告も行ってきました。世界最大のレーザー医学会ASLMSやIMCAS ASIA、KOREA DERMAなどの国際学会で招待講演を行い、国際的な医師教育プログラム「GMI」を主宰。海外の医師の指導・育成にも取り組んでいます。

これまでの治療で思うような手応えを得られなかった方にも、なぜその肌にその症状が起きているのかを見極め、必要な治療の順序からご提案します。肌を診て、治療を設計し、経過に合わせて組み立てを更新する。そこまでを含めて、肌治療だと考えています。詳しいプロフィール →

Dr.Kentaro

ヒルズグレイスクリニック院長。レーザー開発に関与し、早く結果を出す最新治療法を考案するマシン治療のスペシャリスト

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