学会・講演 2023|奥 謙太郎|公開 2026年10月20日(2023年に公開した講演報告記事21本を、1本に再編したものです。)
この記事の要点
2023年、ヒルズグレイスクリニック院長の奥謙太郎は、アメリカ・韓国・タイ・ベトナム・シンガポール・インドネシアと日本で、学会・講演・セミナーなど20件の場で講演・指導を行いました。4年に1度の世界皮膚科学会WCD2023では口頭講演に採択され(採択率8.7%)、1,000例を超える症例にもとづくシミ治療の長期成績など、シンポジウムを含めて4講演を行いました。ソフウェーブの照射法Thermal Thread Technique®はASLMS2023からWCDへと発表を重ね、日本美容皮膚科学会総会で国内初公開。ピコシュアプロとポテンツァを組み合わせたサイノグローは、アメリカ・韓国・タイ・シンガポール・インドネシアと日本の学会で紹介しました。
はじめに
2023年は、学会・講演・セミナーで20回、医師たちの前に立った一年でした。アメリカ、韓国、タイ、ベトナム、シンガポール、インドネシア、そして日本。会場は変わっても、お話ししてきたことの根は同じです。機器にはそれぞれ“性格”があり、その性格をとらえ、肌で起きていることに合わせて組み立てることで、治療の効果を高めながら副作用を抑えることを目指せる、ということです。中心にあったのは、私が考案したサイノグロー、Thermal Thread Technique®、Skin ReGeneration™と、開発から関わってきたピコシュアプロです。
この年の主な出来事です。
- 4年に1度の世界皮膚科学会WCD2023で口頭講演に採択され(採択率8.7%)、シンポジウムを含めて、シミ治療の長期成績、サイノグロー、機器の使いこなし、Thermal Thread Technique®の4講演を行いました。
- ソフウェーブの照射法Thermal Thread Technique®を、ASLMS2023、Sofwave社のAPAC地域KOLミーティング、WCD2023で発表し、商標登録を経て、第41回日本美容皮膚科学会総会で国内初公開しました。
- ピコシュアプロが国内で医療機器の承認を取得した年でもありました。韓国での発売記念イベントにはスペシャルゲストとして招かれ、日本・韓国・インドネシアで臨床経験を共有しました。
- シンガポールのThe CYNOSURE APAC Summit 2023では、各国16名のスピーカーのひとりとして、日本から登壇しました。
- インドネシアでは、国際学会iSWAMでの2講演に加えて、3つの施設で医師への実技指導を行いました。
この記事は、当時グレイスジャーナルに書いた講演報告21本を、1本にまとめ直したものです。一覧で一年を見渡してから、気になった講演の記事へお進みください。
各講演の内容は当時の報告に基づいています。治療の効果や経過には個人差があり、講演で扱った治療の多くは自由診療です。
1. 2023年の登壇一覧
20件の講演・セミナー・指導を日付順に並べました。項目名から、それぞれの講演の内容へ移動できます。日付が月までの項目は、当時の報告記事を掲載した月です。
| 日付 | 学会・イベント | 開催地 | 内容 |
|---|---|---|---|
| 2月 | Jeisysユーザーズミーティング | — | ピコシュアプロとピコシュアの違い |
| 4月 | POTENZAローンチイベント(ベトナム) | ベトナム | ポテンツァのローンチ講演とライブデモ |
| 4月 | ASLMS2023(米国レーザー医学会) | アメリカ・フェニックス | サイノグロー・TTTの口頭講演と実演 |
| 4月 | ピコシュアプロ ワールドツアー(韓国) | 韓国 | 韓国の医師へピコシュアプロの臨床経験を共有 |
| 4月28日 | 第66回日本形成外科学会総会・学術大会 | 長崎(出島メッセ) | ピコシュアプロ 18か月の臨床データ |
| 5月11日 | 第111回日本美容外科学会 | 大阪 | 「レーザー・高周波治療の未来」 |
| 5月 | PICOSURE focus on versatile revolution(タイ・チュラロンコン大学) | タイ(チュラロンコン大学) | Polnikorn教授とともに登壇、サイノグローを講演 |
| 6月 | 日本皮膚科学会総会 | パシフィコ横浜 | 難治性ニキビへのサイノグローとスキンケア |
| 6月 | Sofwave社APAC地域KOLミーティング | タイ・バンコク | TTTを各国のKOLへ紹介 |
| 6月 | ピコシュアプロ韓国発売記念ローンチイベント(KOREA DERMA) | 韓国 | 韓国発売記念イベントにスペシャルゲストとして登壇 |
| 6月 | KOREADERMA2023(韓国皮膚科学会) | 韓国 | 「スキンタイトニングとスキンリフティング」でサイノグローを講演 |
| 7月 | The CYNOSURE APAC Summit 2023 | シンガポール | 各国16名のスピーカーのひとりとして登壇 |
| 7月 | 世界皮膚科学会WCD2023 Cynosureブース | シンガポール | ブースでのミニレクチャーとライブデモ |
| 7月 | 世界皮膚科学会WCD2023(World Congress of Dermatology) | シンガポール | 口頭講演に採択、シンポジウムを含め4講演 |
| 8月 | 第41回日本美容皮膚科学会総会 | 東京(京王プラザホテル) | シミ治療の講演と、TTTの国内初公開 |
| 10月 | 第16回 Total Anti-Aging Seminar | 東京 | ソフウェーブのTTTとSkin ReGeneration™ |
| 11月 | AMWC Japan 2023 | 京都 | ピコシュアプロを50分で講演 |
| 11〜12月 | iSWAM期間中のピコシュアプロ エキスパートセミナー | インドネシア | インドネシアのKOLへのプライベートセミナー |
| 11〜12月 | iSWAM 2023(インドネシア) | インドネシア | 2年連続の招待講演、肝斑とコンビネーション治療 |
| 11〜12月 | テクニカルトレーニング(インドネシア3施設) | インドネシア | 3施設でレーザー機器の実技指導 |
2. 講演の中心にあった治療
この年の講演で繰り返しお話ししたのは、次の治療です。当院での料金・リスク・承認状況は、記事の後半「治療について」にまとめています。
サイノグロー(CynoGlow™)
ピコ秒レーザー「ピコシュアプロ」と、極細の針から高周波(RF)の熱を届ける「ポテンツァ」を組み合わせる、私が考案した治療法です。ピコシュアプロの短いパルスで色素と肌の深くに働きかけ、ポテンツァの針で真皮へ熱を届ける。どちらも単独で使える機器ですが、強みの違う二つを組み合わせ、ニキビやニキビ痕、毛穴、色素沈着といった悩みに、肌の組織で起きていることから働きかけることを狙っています。
2023年は、ASLMS、KOREADERMA、The CYNOSURE APAC Summit、WCD、iSWAMなどで発表しました。現在は、次世代機「ポテンツァプライム」(国内未承認医療機器)とピコシュアプロを同じ日に組み合わせて行っています。
Thermal Thread Technique®(TTT)
超音波機器ソフウェーブで、私が考案した照射法です。熱を加えたときにコラーゲンが縮む方向と、コラーゲンの再生に適した温度に着目し、低い熱エネルギーで効率よく引き締めることを目指します。アジアではソフウェーブを強めのエネルギーで照射することが多く、痛みが課題になっていました。引き締め・引き上げを目的とする照射は、ソフウェーブの承認された使用目的(顔と首のしわの改善)の範囲外の適応外使用です。
2023年はASLMS、Sofwave社のAPAC地域KOLミーティング、WCDで発表し、商標登録を経て、日本美容皮膚科学会総会で国内初公開しました。2024年には、米国レーザー医学会の学術誌『Lasers in Surgery and Medicine』に論文が掲載されました。
Skin ReGeneration™
ソフウェーブで真皮に働きかけ、新しいコラーゲンやエラスチンの産生を促すことで、肌そのものを整え直すことを目指す治療の考え方です。Total Anti-Aging Seminarでソフウェーブの肌質改善として紹介し、iSWAMでは、ピコシュアプロと組み合わせた形で肝斑の症例とともに発表しました。
ソフウェーブは現在は国内で承認を受けた医療機器で、その承認は顔と首のしわの改善を目的とするものです。引き上げ(たるみ)、毛穴、肌質、ニキビ痕、肝斑などを目的とする使用は、承認された使用目的の範囲外(適応外使用)になります。
ピコシュアプロ(PicoSure Pro)
波長755nmのピコ秒アレキサンドライトレーザーです。私は開発段階から関わり、2021年から世界第1号機で治療を行ってきました。2023年に国内で医療機器の承認を取得しています(承認番号 30500BZX00079000)。
この年は、Jeisysユーザーズミーティング、日本形成外科学会、韓国でのワールドツアーと発売記念イベント、日本美容皮膚科学会総会、AMWC Japan、インドネシアでのセミナーで、シミを取り除きながら肌の再生を促す照射の考え方をお話ししました。
BEAUTY NAVI(hillspremium.com)は、当院で治療を受けた患者様の口コミを掲載するサイトです。掲載内容は個人の感想で、効果や感じ方には個人差があります。
3. 2023年 1〜3月


2023年2月
Jeisysユーザーズミーティング
テーマ ピコシュアプロとピコシュアの「決定的な違い」
ちょうど1年前、日本で初めてピコシュアプロを紹介したのが、このユーザーズミーティングでした。それから1年。今回は「ピコシュアプロとピコシュアの決定的な違い」をテーマに、臨床で見えてきたことをお話ししました。
違いとして挙げたのは、狙った色素を壊すのに十分なエネルギー(フルエンス)を届けられること、厚みのあるシミや深い位置の色素までレーザーが届くこと、そしてフラクショナル照射による肌の再生(リジュビネーション)が大きく進んだことです。
ちょうど1年前に日本で初めてピコシュアプロを紹介した同じ会で、臨床で見えてきた違いをお伝えしました。
4. 2023年 4〜6月



2023年4月
POTENZAローンチイベント(ベトナム)
テーマ ポテンツァの特徴と、臨床で性能を引き出す使い方
インドネシアに続き、ベトナムでもマイクロニードルRF(極細の針から高周波の熱を届ける機器)「POTENZA(ポテンツァ)」のローンチイベントが開かれました。満席の会場で、ポテンツァ独自の特徴と、その性能を臨床でどう引き出すかについて講演しました。
ポテンツァには、特殊なニードルがあります。講演ではそのニードルを使ったニキビ痕へのアプローチをライブデモンストレーションで紹介し、セッション後にはDr. Triのクリニックを訪ねて、デモンストレーションを行いました。
ローンチしたポテンツァが、ベトナムの美容医療に新しい選択肢をもたらすことを期待しています。



2023年4月
ASLMS2023(米国レーザー医学会)
テーマ サイノグローとThermal Thread Technique®の口頭講演、Meet the Expertでの実演
米国レーザー医学会(ASLMS:American Society for Laser Medicine and Surgery)は、レーザー医療の国際学会です。アリゾナ州フェニックスで開かれた2023年の学術集会では、口頭講演2題のほか、ミーティングと実演を担当しました。
サイノグローの講演では、ピコシュアプロとポテンツァを組み合わせた、ニキビとニキビ痕の同時治療の安全性と有効性を報告しました(座長:Dr. Woraphong)。Thermal Thread Technique®の講演で取り上げたのは、アジアでソフウェーブを強めのエネルギーで照射すると痛みが強く出やすい、という課題です。痛みを抑えながら引き締めを目指す照射法として報告し、これをきっかけに、私はソフウェーブ社の顧問に迎えられました。
大ホールのMeet the Expertでは、サイノグローのエキスパートとして施術法を実演しました。ピコシュアプロの国際KOLミーティングでは、各国の医師やCynosure社の開発チームと交流しました。
多くの方の支えがあって、この学会で担ったすべての役割を果たすことができました。



2023年4月
ピコシュアプロ ワールドツアー(韓国)
テーマ 韓国の医師に向けた、ピコシュアプロの臨床経験
私はピコシュアプロの開発段階から関わり、2021年からは世界第1号機で治療を行ってきました。その経験を各地で伝えてきた「ピコシュアプロ ワールドツアー」が、韓国にやってきました。韓国の医師に向けて、これまでの臨床経験を共有しています。
会場には多くの医師が集まり、美容医療への熱意と関心の高さを感じる時間になりました。同じ日には、KALDATでも講演しています。
教える立場で臨んだ講演でしたが、質問や議論から、私自身も新しい視点を得ることができました。


2023年4月28日
第66回日本形成外科学会総会・学術大会
テーマ ピコシュアプロ、18か月の臨床データ
長崎・出島メッセで開かれた第66回日本形成外科学会総会・学術大会で、開発から携わり、2021年に世界で初めて臨床で使い始めたピコシュアプロについて講演しました。座長は佐藤先生、同じセッションでは曽山先生が登壇されました。
ピコシュアプロは、波長755nmのピコ秒アレキサンドライトレーザーです。米国では良性の色素性疾患や刺青の除去を対象に認められており、この年、日本でも厚生労働省から医療機器としての承認を取得しました(承認番号 30500BZX00079000)。
講演では、過去18か月にわたって集めた臨床データをもとに、表皮と真皮にある余分な色素の除去と、肌の再生(リジュビネーション)について、以前の機種と比べた結果を報告しました。
このデータをもとに改良を重ね、リスクをできるだけ抑えた治療を届けていくことが、次の課題です。


2023年5月11日
第111回日本美容外科学会
テーマ レーザー・高周波治療の未来
大阪で開かれた第111回日本美容外科学会。東海大学形成外科の河野太郎教授が座長を務めるセッションで、藤本先生、黄先生、原先生とご一緒し、「レーザー・高周波治療の未来」をテーマに講演しました。
機器の進化によって、さまざまなエネルギーの活かし方が明らかになってきました。一方で、どの機器にも得意と不得意があります。複数の機器を組み合わせれば、互いの弱点を補い合うことができる。その一例として、ピコシュアプロとポテンツァを組み合わせたサイノグローを紹介しました。
医療機器そのものの進化と、複数の機器を組み合わせる治療戦略。美容医療の未来は、この両輪にあると考えています。



2023年5月
PICOSURE focus on versatile revolution(タイ・チュラロンコン大学)
テーマ Polnikorn教授との講演、臨床の視点から見たサイノグロー
タイの名門・チュラロンコン大学で開かれたレーザーイベントで、「レーザートーニング」の考案者として知られるPolnikorn教授とともに講演しました。私たちはともにCynosure社のMedical Advisory Boardの一員で、北アジアでは当院が、南アジアではPolnikorn教授の施設が、Research & Training Centerに認定されています。
Polnikorn教授は科学の観点からピコシュア・ピコシュアプロの意義を、私は臨床の観点から、ピコシュア・ピコシュアプロとポテンツァを組み合わせたサイノグローをお話ししました。各国から集まった医師と、活発に質疑応答を行いました。
参加した医師の多様な背景と専門知識から、私自身の知識を補い、新しい視点を得ることができました。



2023年6月
日本皮膚科学会総会
テーマ 繰り返す・治りにくいニキビへの治療
パシフィコ横浜で開かれた日本皮膚科学会総会では、今泉先生の座長のもと、繰り返すニキビ、保険診療で改善しにくいニキビ、大人ニキビといった「難治性ニキビ」への治療を紹介しました。
講演では、クリニックで行うサイノグローに、自宅でのスキンケアを組み合わせる考え方を、症例とともにお話ししました。
これまでの治療で改善しにくかったニキビに向き合ってきた臨床経験を、学会の場で共有しました。



2023年6月
Sofwave社APAC地域KOLミーティング
テーマ Thermal Thread Technique®をアジアの医師へ
バンコクで開かれたSofwave社のAPAC地域KOLミーティングに、日本から参加しました。会場には、IPLの開発者で、Syneron Medical、Alma Lasers、InModeといった企業の創業者でもあるShimon Eckhouse氏の姿もありました。
私が紹介したのは、自ら考案したソフウェーブの照射法「Thermal Thread Technique®(TTT)」です。コラーゲンが縮む方向は、与えるエネルギーの大きさによって変わる。その性質を活かし、痛みをできるだけ抑えながら引き締めを狙う方法です。この考え方は、研究者でクリニカルスペシャリストのDany Berube博士とも一致しました。
ASLMSで発表したTTTを、アジアの医師たちと議論できた場でした。



2023年6月
ピコシュアプロ韓国発売記念ローンチイベント(KOREA DERMA)
テーマ ピコシュアプロの効果的な使い方と注意点
ピコシュアプロの韓国発売を記念して、KOREA DERMAの会期中にローンチイベントが開かれました。ご一緒したのは米国のDr. Emil Tanghetti。私はDr. TanghettiやCynosure社の開発チームとともにこのレーザーの開発に携わり、世界第1号機を使っていることから、スペシャルゲストとして招かれました。座長はDr. HyungJoo Kimです。
Dr. Tanghettiは、前身のピコシュアの開発にも関わった医師です。Cynosure社の主任物理学者Dr. Mirkoとともに、なぜ755nmという波長を選んだのか、開発の経緯が語られました。532nmや1064nmも試したものの皮下出血が強く出たため、755nmに行き着いたこと。数多くの波長を精密に検討した開発チームの話に、深く感銘を受けました。
2021年に世界で初めてピコシュアプロの臨床使用を始めたのが、私とDr. Tanghettiです。私のセッションでは、2年間の症例から見えてきた効果的な使い方と、注意すべき点をお話ししました。
これからも、より安全で効果的な治療法を追求していきます。



2023年6月
KOREADERMA2023(韓国皮膚科学会)
テーマ スキンタイトニングとスキンリフティング、サイノグローの設計
韓国皮膚科学会のKOREADERMA2023に招かれ、「スキンタイトニングとスキンリフティング」をテーマにしたセッションで講演しました。会場には、講演者の似顔絵を並べた「Wall of FAME」が飾られていました。
肌の引き締めや引き上げの核心は、真皮でコラーゲンとエラスチンが作られることにあります。治療を考えるときは、まず肌の組織でどんな問題が起きているかを把握し、そこへ戦略的に働きかける。この考え方を突き詰めて生まれたのが、サイノグローです。ピコシュアプロの短いパルスで肌の深くに働きかけ、ポテンツァの微細な針から真皮へ高周波の熱を届ける。その設計の考え方をお話ししました。
治療の組み立ては、肌の組織で起きていることを知ることから始まります。
5. 2023年 7〜9月



2023年7月
The CYNOSURE APAC Summit 2023
テーマ サイノグローのプレゼンテーションと、肝斑をめぐる議論
シンガポールのシャングリ・ラ ホテルで、The CYNOSURE APAC Summit 2023が開かれました。2019年以来、4年ぶりの開催です。15か国以上から300人を超える医師が集まり、各国から16名のスピーカーが登壇するなか、日本からは私が講演しました。
テーマはサイノグロー。ピコシュアプロとポテンツァは、それぞれ単独でも用いられる機器です。そのうえで二つの強みを組み合わせ、コラーゲンとエラスチンの産生を効率よく促しながら、シミやニキビ痕の色素沈着に働きかける考え方を紹介しました。
各国のKOLとのQ&Aセッションで中心になった話題は、肝斑でした。どう治療していくかはこれまでも議論されてきましたが、病態の解明を含め、まだ研究が必要だという点で意見が一致しました。



2023年7月
世界皮膚科学会WCD2023 Cynosureブース
テーマ ポテンツァ・ピコシュアプロのミニレクチャーとライブデモ
世界皮膚科学会WCD2023の会期中、Cynosure社のブースでミニレクチャーとライブデモンストレーションを担当しました。マイクロニードルRFのポテンツァと、ピコ秒レーザーのピコシュアプロ、どちらのレクチャーも満席でした。
講演よりも聴き手との距離が近く、議論は白熱しました。実際の機器を前に説明すると、実践的な質問や、これまでと違う角度からの質問が届きます。そこから新しい使い方のアイデアが生まれることもある。それがライブデモンストレーションの醍醐味だと感じています。
ブースではブラジルのDr. Geisa Costaとサイノグローについて対談し、その様子はDr. Costaによってライブ配信されました。ジョンズ・ホプキンス大学のDr. Robert Weissとも、サイノグローについて意見を交わしています。



2023年7月
世界皮膚科学会WCD2023(World Congress of Dermatology)
テーマ シミ治療の長期成績、サイノグロー、機器の使いこなし、Thermal Thread Technique®
4年に1度開かれる世界皮膚科学会(WCD)は、皮膚科学のすべてを扱い、世界中から皮膚科医が集まる国際学会です。2023年のシンガポール大会には全世界から5,147演題が登録され、口頭講演に採択されたのは448演題、採択率は8.7%でした。その口頭講演に採択していただき、シンポジウムを含めて4つの講演を行いました。
2012年に世界初のピコ秒レーザー「ピコシュア」が登場してから10年あまり。有効性や安全性の報告は多くの国から出ています。私が報告したのは、1,000例を超える当院の全症例の分析をもとに作った、ピコシュア/ピコシュアプロによるシミ治療の方法と、その長期成績です。照射後の色素沈着の発生率、シミへの有効性、長期の安全性を分析しています。
あわせて、サイノグローの開発当初からの経過と結果の分析、機器の“性格”をどうとらえて治療効果を高め、副作用を抑えるかをテーマにしたシンポジウム、そしてソフウェーブの性能を引き出す照射法Thermal Thread Technique®の原理と治療結果についても発表しました。
会期中、世界各国の医師と意見を交わし、多くの新しい知見を得ることができました。


2023年8月
第41回日本美容皮膚科学会総会
テーマ ピコ秒レーザーのシミ治療と、ソフウェーブの照射法
京王プラザホテルで開かれた第41回日本美容皮膚科学会総会では、シンポジウムとスイーツセミナーで講演しました。
シンポジウム「しみadvanced」(座長:東海大学形成外科 河野太郎先生、順天堂大学浦安病院 須賀康先生)では、「ピコ秒アレキサンドライトレーザーを用いたシミ治療」と題して、当院で過去7年間に行った全顔のシミ治療についてお話ししました。メラニンを壊すのに必要な閾値のフルエンスを用いた照射方法や、コラーゲンやエラスチンの産生につながるLIOB(レーザーで肌の内部に起こす微細な変化)が起きたことを臨床で確かめるためのエンドポイントの設定など、通常のシミ治療から一歩踏み込んだ内容です。
スイーツセミナー「次世代たるみ治療器“SUPERB”の魅力」(座長:クロスクリニック銀座 石川先生、藤田医科大学 秋田先生)で取り上げたのは、超音波機器ソフウェーブです。ASLMS、Sofwave社のAPACミーティング、WCDで発表してきたThermal Thread Technique®は、商標登録を経て、この学会で国内初公開となりました。コラーゲンが縮む方向と、コラーゲンの再生に適した温度に着目し、低い熱エネルギーで効率よく肌を引き締めることを目指す照射法です。会場は立ち見が出るほどでした。
講演後には、多くの先生方から反響をいただきました。
6. 2023年 10〜12月


2023年10月
第16回 Total Anti-Aging Seminar
テーマ ソフウェーブによる引き締めと肌質改善
第16回Total Anti-Aging Seminarは、5年ぶりの会場開催でした。座長は古山先生と石川先生。小林先生と同じセッションで、超音波機器ソフウェーブについて講演しました。
ソフウェーブは、SUPERB™という超音波で真皮の中ほど(米国FDAに提出された資料では治療深度1〜2mm)を加熱する機器です。講演では、狙った方向へ引き締めるThermal Thread Technique®と、真皮に働きかけて新しいコラーゲンやエラスチンを増やし、肌そのものを整え直すことを目指すSkin ReGeneration™を紹介しました。ニキビ痕や毛穴、小じわといった、肌のダメージの結果として現れた悩みに向けた考え方です。
HIFU(高密度焦点式超音波)が使われ始めて20年。新しい超音波技術は、これからの美容医療で大きな役割を担っていくと考えています。



2023年11月
AMWC Japan 2023
テーマ ピコシュアプロの特性を、研究データから読み解く
紅葉の京都で開かれた国際学会AMWC Japan 2023では、50分にわたってピコシュアプロの講演を行いました。座長は東海大学形成外科学の河野太郎教授です。この日は副院長の奥美香子も、会場で講演を聴いていました。
講演では、ピコシュアプロについて研究で示されていることを整理しました。皮膚の深い部分までレーザーが届くこと、メラニンを壊すのに必要なエネルギーが設定ごとに確かめられていること、そして多くの研究結果が報告されていることです。そのうえで、紫外線によるシミ、脂漏性角化症、そばかす、ニキビ痕の色素沈着といったさまざまなシミや、太田母斑、ADMなどのアザの原因となるメラニンに働きかけながら、肌の再生を促す照射のノウハウをお話ししました。
当院のピコシュアプロの治療は、ダウンタイムを抑えながら不要なメラニンを取り除き、顔全体の肌の代謝を促すことを目指しています。シミの状態と肌そのものの状態に合わせて、照射を組み立てます。



2023年11〜12月
iSWAM期間中のピコシュアプロ エキスパートセミナー
テーマ ピコシュアプロの性能を引き出し、副作用を抑えるために
iSWAMの会期中、インドネシアのエキスパートKOLに向けたプライベートセミナーが開かれました。話題の中心は、やはりピコシュアプロです。
どうすれば性能を引き出しながら、副作用を減らすことができるか。それは医師の腕の見せどころであり、一人ひとりの肌と対話しなければならない難しいポイントでもあります。当院の治療では、シミの原因となるメラニンを取り除くだけでなく、肌そのものの再生を同時に目指します。そのため、シミだけでなく、ニキビ痕の色素沈着などにも用いています。



2023年11〜12月
iSWAM 2023(インドネシア)
テーマ コンビネーション治療と、肝斑への治療
2年連続で講師として招かれた国際学会iSWAM(インドネシア)では、コンビネーション治療について2つの講演を行いました。日本とインドネシアでは人種も環境も違いますが、肌の悩みは共通しています。どう治療を組み立てれば、ダウンタイムが起きにくく、副作用が少なく、しかも効果の高い治療になるか。いつも肌と向き合いながら考えていることです。
テーマのひとつは、各国で共通する治りにくい色素斑、肝斑です。私が考案し商標登録を取得した二つのコンビネーション治療、ピコシュアプロとポテンツァを組み合わせたCynoGlow™と、ピコシュアプロとソフウェーブを組み合わせたSkin ReGeneration™を紹介し、肝斑にSkin ReGeneration™を1回行った症例も示しました。



2023年11〜12月
テクニカルトレーニング(インドネシア3施設)
テーマ 3施設でのプライベートテクニカルトレーニング
インドネシア滞在中のもうひとつの役割は、テクニカルトレーニングでした。レーザー機器は、理論を理解できても、使いこなすには実践的なトレーニングが欠かせません。今回は3つの施設から依頼を受けました。
多くの企業のKOLを務めるDr. Deasyのbmdermaでは、難治性の色素斑やニキビ痕への使い方と、ほかの機器と組み合わせるときの注意点を。Dr. RaynaldのBLINK BEAUTY CLINICでは、レーザー治療に適した肌の診断方法を説明したうえで、実際の患者様の症状に合わせたピコシュアプロの照射方法を。Dr. RatnaのD’JANTARI dermatologyでは、長年の紫外線でできた深く大きなシミを安全に治療するための、肌の見極め方からお話ししました。Dr. Ratnaからは、特注の私のパペットをお土産にいただきました。
機器の性能や種類も大切ですが、いちばん大切なのは、患者様の症状を伺いながら、その方の肌に合った治療を組み立てていくことです。
TREATMENT INFORMATION
治療について
- 施術名
- この記事の講演で紹介した治療:サイノグロー(ピコシュアプロ+ポテンツァプライム)、ソフウェーブ(Thermal Thread Technique®/Skin ReGeneration™)、ピコシュアプロ
- 診療区分
- 自由診療(保険適用外)
- 使用量・部位
- この記事でご紹介したのは講演の内容で、特定の症例の治療内容を示すものではありません。照射の範囲・設定・回数、組み合わせるかどうかは、診察で肌の状態を確認したうえで個別に決めます。
- 公式料金の目安
-
サイノグロー(ピコシュアプロ+ポテンツァプライム)
全顔 1回 181,500円
PICOSURE pro
全顔 1回 82,500円
ポテンツァプライム
全顔 1回 154,000円
ソフウェーブ
上顔面・中顔面・下顔面 各1回 110,000円
全顔+あご下 1回 330,000円上記はクリニック公式案内の料金の目安です(税込・2026年10月20日時点)。サイノグローは、ピコシュアプロとポテンツァプライムを同じ日に組み合わせる場合の料金です。ピコシュアプロ・ソフウェーブで麻酔を行う場合は、麻酔代が別途かかります。診察・診断料は施術費用とは別に発生します(初めてご来院の方11,000円、前回のご来院から24か月以内の方1,100円、25か月以上の方11,000円)。講演当時の記事に記載していた料金は当時のもので、現在の料金とは異なる場合があります。料金や内容は変更される場合があります。
- 主な副作用・リスク
- PicoSure Proでは、皮膚の不快感、赤み、腫れ、点状出血、内出血、水疱、かさぶた、膿疱、色素沈着、色素脱失、熱傷、瘢痕、感染、アレルギー反応などが起こることがあり、シミの部分が一時的に濃く見えることがあります。ポテンツァプライムでは、照射時の痛み、一時的な赤み・むくみ・点状出血・かさぶた・内出血のほか、感染や色素沈着が起こることがあります。ソフウェーブでは、照射中の熱感や痛み、照射後の赤み・紅斑、腫れ・浮腫、皮膚の張り感、乾燥などが起こることがあり、まれにやけど、痺れ、内出血、神経損傷が生じる可能性があります。妊娠中・授乳中の方、ペースメーカー等の医療機器を体内に埋め込んでいる方は、照射治療を受けられない場合があります。複数の機器を組み合わせる治療の有効性・安全性は十分に確立されていません。適応、回数、ダウンタイムには個人差があります。
- 未承認医療機器に関する事項
- 【ポテンツァプライム/POTENZA PRIME・Jeisys Medical Inc.(韓国)】本治療に使用するポテンツァプライムは、日本国内において医薬品医療機器等法上の承認を得ていない未承認医療機器です。ポテンツァプライムは、製造元からの依頼にもとづき、当院で評価を目的として使用しています。2023年の講演で扱った旧機種のポテンツァは、国内販売元であるサイノシュアー・ルートロニック株式会社を通じて入手しています。同じシリーズの機器として、Jeisys Medical Japan株式会社の「ポテンツァBASIC」(承認番号 30500BZI00042000、一般的名称:治療用電気手術器)が、2023年12月に「審美性の改善のための皮膚のフラクショナルリサーフェシングを目的とした軟組織の凝固及び蒸散」を使用目的として承認されています。当院で使用しているポテンツァプライムは、この承認品ではありません。旧機種のポテンツァは、米国FDAの510(k)クリアランス(K192545ほか:皮膚科・一般外科の処置における電気凝固と止血)と、韓国MFDS(食品医薬品安全処)の承認を受けています。ポテンツァプライムとしての各国の承認状況は、現在確認中です。紅斑、腫脹、感染、色素沈着、熱傷などが報告されています。【PicoSure Pro】国内承認医療機器です(承認番号 30500BZX00079000/一般的名称:アレキサンドライトレーザ/使用目的又は効果:体表面の表在性及び深在性良性色素性病変の治療、又は外傷性並びに入墨による刺青の蒸散及び除去。ニキビ痕・毛穴・小ジワ・肌質を目的とする照射は適応外使用です)。【ソフウェーブ】現在は国内承認医療機器です(承認番号 30700BZX00082000/一般的名称:皮膚引締め用超音波照射器/承認された使用目的:中等度又は重度の顔面及び頚部のしわの改善。引き上げ(たるみ)、毛穴、肌質、ニキビ痕、肝斑などを目的とする使用は、承認された使用目的の範囲外の適応外使用です。医師が必要性とリスク、ほかの選択肢をご説明し、同意をいただいたうえで行います)。
よくある質問
2023年に、奥謙太郎院長が登壇した主な学会・講演は?
2023年は国内外で20件の講演・セミナー・指導を行いました。海外ではASLMS2023(米国レーザー医学会・フェニックス)、世界皮膚科学会WCD2023とThe CYNOSURE APAC Summit 2023(シンガポール)、KOREADERMA2023(韓国)、iSWAM 2023(インドネシア)など、国内では日本形成外科学会総会、日本美容外科学会、日本皮膚科学会総会、日本美容皮膚科学会総会、AMWC Japan 2023などで講演しました。
世界皮膚科学会WCD2023では、何を発表しましたか?
口頭講演に採択(5,147演題中448演題、採択率8.7%)され、シンポジウムを含めて4つの講演を行いました。1,000例を超える症例の分析にもとづくピコシュア/ピコシュアプロのシミ治療の長期成績、サイノグローの開発当初からの効果と安全性の分析、機器の特性をとらえて治療効果を高め副作用を抑えるためのシンポジウム、ソフウェーブの照射法Thermal Thread Technique®の原理と治療結果です。
サイノグロー(CynoGlow™)とは、どんな治療ですか?
ピコ秒レーザーのピコシュアプロと、極細の針から高周波の熱を届けるポテンツァを組み合わせる、院長 奥謙太郎が考案した治療法です。2023年はASLMS、KOREADERMA、WCDなどで発表しました。現在使用しているポテンツァプライムは国内未承認医療機器で、自由診療です。承認状況・リスク・料金は、この記事の「治療について」に記載しています。
Thermal Thread Technique®(TTT)とは何ですか?
超音波機器ソフウェーブを使う、院長 奥謙太郎が考案した照射法です。コラーゲンが縮む方向と、コラーゲンの再生に適した温度に着目し、低い熱エネルギーで効率よく肌を引き締めることを目指します。2023年にASLMS、Sofwave社のAPAC地域KOLミーティング、WCDで発表し、商標登録を経て日本美容皮膚科学会総会で国内初公開しました。2024年に米国レーザー医学会の学術誌『Lasers in Surgery and Medicine』に掲載されました。引き締めを目的とする照射はソフウェーブの承認範囲外(適応外使用)で、感じ方や効果には個人差があります。
Skin ReGeneration™とは何ですか?
ソフウェーブで真皮に働きかけ、新しいコラーゲンやエラスチンの産生を促すことで、肌そのものを整え直すことを目指す治療の考え方です。iSWAM 2023では、ピコシュアプロと組み合わせた形で、肝斑の症例とともに紹介しました。ソフウェーブは現在は国内承認の医療機器で、その承認は顔と首のしわの改善を目的とするもので、引き上げ(たるみ)、毛穴、肌質、ニキビ痕、肝斑などを目的とする使用は承認範囲外(適応外使用)です。
ピコシュアプロとピコシュアは、何が違うのですか?
2023年2月の講演では、狙った色素を壊すのに十分なエネルギーを届けられること、厚みのあるシミや深い位置の色素まで届くこと、フラクショナル照射による肌の再生が大きく進んだことを、違いとしてお話ししました。ピコシュアプロは波長755nmのピコ秒アレキサンドライトレーザーで、2023年に国内で医療機器の承認を取得しています(承認番号 30500BZX00079000)。
講演で紹介した治療は、ヒルズグレイスクリニックで受けられますか?
ピコシュアプロ、ソフウェーブ、ポテンツァプライム、それらを組み合わせたサイノグローは、横浜あざみ野のヒルズグレイスクリニックで受けることができます。いずれも自由診療(保険適用外)です。どの治療が合うか、回数や費用、起こりうる副作用は、診察で肌の状態を確かめてからご説明します。
おわりに
学会や講演でお伝えしていることは、診察室で一人ひとりの患者さんに向き合うときの考え方と同じです。機器の設定や治療の順番には理由があり、その理由を海外の医師と共有し、議論を重ねることで、当院の治療も更新されてきました。この記録が、治療を検討される方の判断材料の一つになれば幸いです。
シミ・たるみ・肌質のお悩みは、横浜あざみ野のヒルズグレイスクリニックまでご相談ください。診察のうえで、一人ひとりに合った治療の組み立てをご提案します。カウンセリングのご予約はこちら →







