50代|嫌だった美容室の鏡を、もう一度見に行った|初めてのヒアルロン酸とソフウェーブ

美容医療は人を幸せにするのか
ヒルズグレイスクリニック 副院長 奥 美香子

監修・執筆:奥 美香子

ヒルズグレイスクリニック 副院長

本記事は、「美容医療は人を幸せにするのか」を考える研究連載の一部です。ここでは、一人の患者様の語りを、見た目・気持ち・行動の変化を考えるための一つの記録として紹介しています。医学と社会学の視点から、患者様の声を丁寧に見つめます。

この記事の要点

注入治療が初めてだった50代の患者様の記録です。受けたのは、ヒアルロン酸注入とボトックスビスタ®、そしてソフウェーブ。きっかけは、通っている美容室の鏡でした。照明の関係でたるみが目立って見え、嫌だったという鏡です。受診までの経緯、初めての注入で感じたこと、注入から二週間のあいだにその鏡をもう一度見たときのことを、ご本人の言葉でたどります。記事の終盤に、施術前後の正面写真を掲載しています。

患者様ご本人の感想を紹介する記事です。治療結果や感じ方には個人差があり、同じ変化を保証するものではありません。

美容室の鏡は、照明の向きで正直になる

美容室の椅子は、鏡の正面に置いてあります。照明は上から当たる。患者様が通っている店の鏡では、たるみが目立って見えたといいます。いちばん気になったのは、顎のへこみでした。

嫌だった、とご本人は言います。その鏡が、注入治療を受けようと思ったきっかけの一つになりました。

美容室の鏡の前に座り、照明の下で顎のあたりに手を当てる50代女性の水彩イラスト。ヒアルロン酸注入を受ける前のイメージ

ただ、最初に当院へ来た理由は、輪郭ではありませんでした。

プライバシー保護のため、本文中のイラストはご本人のお写真をそのまま再現せず、雰囲気を参考に描いています。施術シーンのイラストは治療の流れを伝えるためのイメージです。

最初に気になっていたのは、シミだった

肝斑かどうかも分からないまま、シミが目立つのが嫌で、いろいろ調べて当院に行き着いた。それが最初でした。担当は院長の奥謙太郎で、ピコシュアプロによるシミの治療を受けています。二回目のあとに、院長から「もう大丈夫だよ」と言われ、次に必要になったときは院長のほうから声をかける、ということになりました。

「ちゃんと必要なケアをしてくださるなっていうのが、すごく私にとってはありがたいなと思っています」

肌が整ってくると、逆に今度は、ほうれい線のようなものが目立って見えてきた。気になる回数が増えた、とご本人は言います。そこに、あの美容室の鏡が重なりました。

「注入は本当に、今まで通っているところでやっていただくのが一番かなと思ったので、迷いなく」

注入治療は、今回が初めてでした。迷わなかった理由は、治療そのものより先に、誰に任せるかが決まっていたことでした。

ピコシュアプロによるシミ治療は、この記事で扱う治療とは別の治療です。ここでは受診の経緯としてのみ触れています。治療の内容、費用、主なリスクは、関連するページに記載しています。

初めての注入の前に、私が見ているもの

診察室で副院長 奥美香子が50代の患者様とヒアルロン酸注入の相談をしている水彩イラスト

初めての方には、何をどこに、なぜ入れるのかを先に話します。私が見るのは、気になっている線そのものより、その影を作っている土台です。骨格、皮下組織、筋肉の動き、皮膚の状態、左右差。線そのものが原因のこともあれば、その線を作っている土台が別の場所にあることもあります。

ヒアルロン酸は、製剤の性質と注入する部位を考えながら、顔の立体感や輪郭、気になる凹みを整える治療です。ボトックスビスタ®は、筋肉の動きと表情を診ながら、表情に伴うしわや動きを整えます。今回は、顎と口角に使いました。

どこに置けば顔全体の見え方が動くか。それを解剖学的に決めてから、注入に入ります。

「初めての注入医療でしたが、カウンセリングをしっかりして頂き最善の施術をご提案頂き、納得して施術を受ける事が出来ました」

納得して受ける、とアンケートに書いてあります。ただ、施術台の上では目を閉じています。何が起きているかは、見えません。

ヒアルロン酸注入治療、ボトックスビスタ®、ソフウェーブはいずれも自由診療(保険適用外)です。費用の目安、主な副作用・リスク、承認状況は、この記事の「治療について」に記載しています。適応や効果の出方には個人差があります。

目を閉じていても、一か所ずつ進むのが分かった

副院長 奥美香子が50代の患者様にヒアルロン酸注入を行っている水彩イラスト

「施術は一ヶ所一ヶ所、丁寧に進めてくださっているのが目を閉じていても分かりました」

ご本人は、入れるだけの治療だと思っていたそうです。

「入れるだけなのかなと思ったんですけど、入れながらこう、調整してくださるんだなとかっていうのがすごくあって」

私は、途中で経過を確かめながら、その都度お伝えします。半分終わったところで、一度鏡をお見せしました。左右で見比べられるからです。全部が終わって、正面の鏡でもう一度。

「鏡がこんなに嬉しいこと、久しぶりだなと思って」

ただ、診察室の鏡は、私が持ってお見せした鏡です。ご本人が嫌っていたのは、別の鏡でした。

二週間のあいだに、同じ鏡の前に座った

ヒアルロン酸注入から二週間後、美容室の同じ鏡で顎のラインを確かめる50代女性の水彩イラスト

注入からちょうど二週間。そのあいだに、あの美容室へ行く機会がありました。

「今まで見えてた影とかがなくなっているのと、一番気になってた顎のへこみとかが消えてるのが分かったので、同じ鏡でそれが実感できたのがすごく嬉しかったです」

診察室の鏡ではなく、嫌だった鏡で。ご本人にとっての答えは、そこで出ました。

鏡の前だけではありません。朝、顔を洗うときの手にも違いがあった、と話しています。

「洗顔時に触った感じが、いつもよりメリハリがついたというか、立体感が出た感じ。すごく手から伝わってきます」

ここに書いたのは、注入から二週間の時点でご本人が話した主観的な印象です。腫れや内出血などの経過を含む治療結果を示すものではなく、感じ方には個人差があります。

戻ったのではなく、昔より

昔のご自身に戻ったような感じですか、と私は聞きました。答えは、少し違いました。

「逆に昔も、あんまり自分のフェイスライン好きじゃなかったので。たぶん昔より良くなってるんじゃないかなと」

顎は、自分で触っても、十年前でもこんなにきれいなラインではなかったと思う、と。それでも、いちばん嬉しかったこととして挙げたのは、変化の大きさではありませんでした。

「わざと作った感じではなくて、すごく自然っていうのが一番嬉しかったです」

アンケートの幸福度の欄には、10点満点で、施術前が8、施術後が10と丸がついています。施術前の8という数字は、中間の5よりずっと幸せ側にあります。困り果てて来院した人の数字ではありません。気になる一か所があって、それを確かめられる場所を持っていた人の数字です。

幸福度はご本人による自己評価で、その時点の主観的な数字です。治療効果を示すものではなく、受けなかった場合との比較も行っていません。

もう一枚のアンケートは、首のことだった

院長 奥謙太郎が50代の患者様にソフウェーブを照射している水彩イラスト

アンケートは二枚あります。もう一枚は、ソフウェーブについてでした。担当は院長の奥謙太郎で、全顔と顎下に一回。超音波の熱で、皮膚とその下の支持組織の引き締めをねらう機器治療です。

痛みが伴う施術です、とご本人は書いています。声をかけてもらい、肩をさすってもらって、痛みが軽く感じられた、と。顔や首まわりの印象や、肌のきめや毛穴についても、ご本人の感じた変化が続きます。締めくくりは、こうでした。

「自分の肌に自信が持てる様になったのが何より嬉しく思っています」

施術中、スタッフが50代の患者様の肩に手を添えている水彩イラスト
施術中に肩へ添えられた手のイメージ

二枚のアンケートに共通して書かれていたのは、治療の内容ではありませんでした。声をかけられたこと。肩に手が置かれたこと。緊張や痛みをやわらげようと、寄り添われたこと。注入の一枚にも、スタッフの皆様に寄り添ってもらって嬉しかった、とあります。

ソフウェーブについての記述は、ご本人がアンケートに書いた主観的な感想です。照射の条件や経過は記載していません。肌質の変化や引き締まりの感じ方には個人差があり、効果を保証するものではありません。

いつも聞く側の人が、話す側に座った

インタビューの終わりに、私は聞きました。こういうの、慣れていらっしゃるんですか。

「いつも聞く側なんですよ」

仕事では、お客様の声を聞く側だといいます。質問される側の気持ちも、よく分かる、と。だから、これから受ける方へのアドバイスも、答える側の言葉でした。まず、安心して任せられる医師を探すこと。口コミやSNSの声は、自分の目と耳で確かめること。そして、

「なりたい自分というか、そういったものを描いて、それをうまく自分でも伝えられるようになるのがいいかなと思います」

聞いてもらえることはもちろん、自分がこうしたい、ということも持ってカウンセリングに臨むのがいい。そう続けました。

明るい戸口から外へ出ていく50代女性の水彩イラスト。治療後の日常のイメージ

通い続けている理由を、ひとつ挙げてもらいました。時間、でした。きれいになるための時間には気持ちの部分が大事で、それを崩さずにいてくれる。医師の技術だけでなく、スタッフの方まで含めて、クリニックの姿勢が伝わる、と。照明や建具の色に、理由があって付けているのが分かる、とも話していました。二階に来るのが楽しみだった、という言い方でした。

インタビューは、嫌だった鏡の話から始まり、先生に伝えられる機会があってよかった、という言葉で終わりました。

写真は、正面から二枚

同じ患者様の正面写真です。左が施術前、右が施術後。画像内では目元を匿名化しています。

ご本人の声で、3分半

音声はご本人のものです。映像は、プライバシー保護のため水彩イラストで構成しています。美容室の鏡のこと、初めての注入で感じたこと、自然な仕上がりのこと、クリニックで過ごす時間のことを話しています。

患者様インタビュー(約3分30秒)。ご本人の発話のみを編集しています。

動画で語られている内容は、ご本人の主観的な感想です。治療結果や感じ方には個人差があります。

TREATMENT INFORMATION

治療について

施術名
ヒアルロン酸注入治療、ボトックスビスタ®、ソフウェーブ(超音波照射)
診療区分
自由診療(保険適用外)
使用量・部位
ヒアルロン酸はジュビダームビスタ® ボリューマXCとボラックスXCを使用しました。注入した部位と注入量は、この記事では公開していません。ボトックスビスタ®は顎と口角に使用しました。ソフウェーブは全顔と顎下に1回照射しています。
公式料金の目安
ジュビダームビスタ ボリューマXCの製品パッケージとシリンジ

ジュビダームビスタ® ボリューマXC

1.0cc 88,000円

ジュビダームビスタ ボラックスXCの製品パッケージとシリンジ

ジュビダームビスタ® ボラックスXC

1.0cc 88,000円

ボトックスビスタ50単位の製品バイアルと外箱

ボトックスビスタ®

1箇所 22,000円

超音波照射機器ソフウェーブの本体

ソフウェーブ

一部位 110,000円〜
4部位(全顔+顎下) 330,000円

上記はクリニック公式案内の料金の目安です。今回の患者様に実際に使用した製剤の量、照射内容、総額を示すものではありません。ボトックスビスタ®の費用は部位と使用量により異なります。麻酔代、針代、初診料・再診料などの扱いは、治療前にご確認ください。

主な副作用・リスク
ヒアルロン酸注入では、赤み、腫れ、痛み、内出血、感染、アレルギー反応、凹凸や左右差などが起こることがあります。まれに血管閉塞・塞栓などの重い合併症が生じる可能性があります。ボトックスビスタ®では、注射部位の赤み、腫れ、痛み、内出血、頭痛、筋力低下、表情の左右差などが起こることがあります。ソフウェーブでは、照射中の熱感や痛み、照射後の赤み、線状の浮腫、乾燥などが起こることがあり、まれにやけど、しびれ、内出血が生じる可能性があります。妊娠中・授乳中の方、ペースメーカー等の医療機器を体内に埋め込んでいる方、過去に金の糸の施術を受けた方は照射治療を受けられません。症状が気になる場合は、自己判断で様子を見続けず、クリニックへご相談ください。
未承認医療機器に関する事項
今回の治療で使用したジュビダームビスタ®シリーズは、日本国内で承認された医療機器です。ソフウェーブは国内承認機器です(承認番号 30700BZX00082000/一般的名称:皮膚引締め用超音波照射器/承認用途:中等度又は重度の顔面および頸部のしわの改善)。ボトックスビスタ®(承認番号 22500BZX00485000)の承認適応症は、65歳未満の成人における眉間および目尻の表情皺です。顎・口角への使用は承認適応外の使用にあたります。この治療では、未承認の医療機器・医薬品は使用していません。

よくある質問

ヒアルロン酸を入れると、不自然な顔になりませんか?

診察で骨格、皮下組織、筋肉の動き、皮膚の状態、左右差を見て、どこに置けば顔全体の見え方が動くかを解剖学的に決めます。使う量も、その置き場所から決まります。仕上がりの感じ方には個人差があります。

初めての注入治療です。カウンセリングでは何を伝えればいいですか?

気になっている場所と、どう見られたいかのイメージ、そして使える範囲を伺います。今回の患者様は、なりたい自分を描いて、それを自分でも伝えられるようにしておくのがいい、と話していました。全部を言葉にできなくても、写真や鏡を見ながら一緒に整理します。

ヒアルロン酸注入とソフウェーブは、同じ日に受けられますか?

届く層と目的が違います。注入は形や輪郭を、ソフウェーブは皮膚とその下の支持組織に超音波の熱を届けて引き締めをねらいます。どちらをいつ行うかは、肌と組織の状態、ご希望、予算をふまえて診察で決めます。同じ日に組み合わせることも、回を分けることもあります。

費用はどのくらいですか?

公式案内の料金の目安は、ボリューマXC・ボラックスXCが各1.0cc 88,000円、ボトックスビスタ®が1箇所 22,000円、ソフウェーブの4部位(全顔+顎下)が330,000円です。今回の患者様に実際に使用した量と総額は公開していません。麻酔代や針代、診察料の扱いは治療前にご確認ください。

気になっているのが、鏡に映る一か所だけでも構いません。横浜あざみ野のヒルズグレイスクリニックでは、その影がどこから来ているかを診察で一緒に見て、置く場所と量を決めます。カウンセリングのご予約はこちら

本記事は、患者様がインタビューとアンケートで語られた個人的な感想をもとに構成しています。実名、施術日、撮影日など個人を特定できる情報は掲載していません。治療結果や感じ方、経過には個人差があり、同じ変化を保証するものではありません。施術内容、費用、主な副作用・リスクは、必ず事前のカウンセリングとクリニック公式案内でご確認ください。

奥美香子 副院長

奥 美香子(おく みかこ)/ヒルズグレイスクリニック 副院長・形成外科医

年齢とともに起こる変化を、顔面解剖を基盤に、皮膚・脂肪・筋肉・骨格に起こる加齢変化として読み解き、顔全体のバランスから、その方に必要な治療を設計しています。目指すのは、見た目の変化をきっかけに気持ちが前を向き、日々の行動まで軽やかになるような、自然で調和のとれた変化です。診療では、顔の悩みだけを切り取らず、更年期前後に起こる女性ホルモンの変化や、肌・心・体の揺らぎにも目を向けます。40代以降は、肌をつくり支える細胞の働きが変化し、これまでと同じ治療でも十分な反応が得られないことがあります。だからこそ、まず肌が治療に応えられる状態を整える。この考え方を「CrossTALK® protocol」として体系化し、筆頭著者として2025年にJournal of Cosmetic Dermatologyに発表しました。2016年より、ボトックスビスタやジュビダームを展開するアラガン・エステティックス ジャパンファカルティーの一員として、また注入指導医として、医師への教育・指導にも携わっています。「美容医療は患者を幸せにするのか」という問いについては、大学との共同研究を通じて探究を続けています。必要な治療を、必要な順番で、必要な分だけ。年齢とともに変化する顔と人生に寄り添い、長く信頼して相談できる「美容のかかりつけ医」でありたいと考えています。詳しいプロフィール

RESEARCH NOTE

研究記事としての位置づけ

本記事は、「美容医療は人を幸せにするのか」という研究連載の一部です。患者様の個人的な感想を治療効果や安全性の根拠として一般化せず、研究における一つの語りとして紹介しています。

研究目的は、美容医療を受けた患者様が、外見の捉え方、気持ち、日常の行動をどのように語るのかを記述し、施術後の経験と主観的な幸福感の関係を考察することです。一人の患者様の経験だけから、一般的な治療効果や幸福度の変化を結論づけるものではありません。

調査方法は、インタビューとアンケートです。本記事では、音声と原本で確認できた発言のみを匿名化して紹介し、ご本人の発話だけを編集したインタビュー動画を掲載しています。幸福度の数値はご本人の自己評価で、比較対照はありません。

患者様の実名、施術日、撮影日は記載せず、個人の特定につながる情報も掲載しません。記事掲載への同意、症例写真と動画の掲載許諾はそれぞれ確認しています。確認が完了していない情報は、公開原稿に追加しません。

Dr.Mikako

ヒルズグレイスクリニック副院長。注入治療のスペシャリスト。美容医療とウェルネスの融合で患者さまの幸せのサポートを使命としている。

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