体も顔も、急に変わった更年期に。49歳がヒアルロン酸注入を相談するまで

美容医療は人を幸せにするのか
ヒルズグレイスクリニック 副院長 奥 美香子

監修・執筆:奥 美香子

ヒルズグレイスクリニック 副院長

本記事は、「美容医療は人を幸せにするのか」を考える研究連載の一部です。ここでは、一人の患者様の語りを、見た目・気持ち・行動の変化を考えるための一つの記録として紹介しています。医学と社会学の視点から、患者様の声を丁寧に見つめます。

この記事の要点

ヒアルロン酸注入を、更年期の不調で仕事を休み、少しずつ再開したばかりの時期に選んだ49歳の患者様の記録です。体が思うように動かず、顔の変化にも気持ちが沈んでいた時期に、なぜ相談に来たのか。施術のあと、何を話したのか。同じように壁にぶつかっている方へ、ご本人が残した言葉までをたどります。記事の終盤に、施術前後の症例写真を掲載しています。

患者様ご本人の感想を紹介する記事です。治療結果や感じ方には個人差があり、同じ変化を保証するものではありません。

体が痛い。動かない。顔まで、急に変わった

仕事へ向かう鞄を横に、窓辺で静かに座り込む40代後半の女性の水彩イラスト。更年期の不調と心の落ち込みを抱えていた頃のイメージ

更年期に入って、体が急に老けたように感じた。患者様はそう話しています。体が痛い。思うように動かない。

「正直、仕事できなくなったんです」

休職しました。頭が回らなくなり、仕事への自信もなくなった、と。インタビューを受けたのは、ようやく少しずつ仕事を再開したところでした。

同じころ、鏡に映る顔も急に変わったように感じていました。気持ちは、かなり沈んだそうです。

「体は運動すればいいし、だけれども顔の変化っていうのは、自分じゃどうにもならないので」

体のことなら、動かせば何かが変わるかもしれない。顔は、自分では手の打ちようがない。そこから、注入を選択肢として考え始めました。

ただ、それは初めての選択ではありませんでした。

ヒアルロン酸で、満足できなかった

それまでにも、ヒアルロン酸はたくさん打ってきたといいます。それでも、満足できる結果は感じられなかった。

口コミはいろいろあるけれど、怪しいものも多い、とも話しています。

「どれが本当の情報かわからないので」

何度も試して、うまくいかなかった。調べても、どれを信じればいいか分からない。体も気持ちも落ちている時期に、もう一度相談に行くのは、軽いことではありません。

その日の診察を、患者様はアンケートにこう書いています。

「今まで医療機関でここまで丁寧に診察頂いたのは初めてと感じるくらい、先生の診察は丁寧で安心ができました」

注入の前に、私が見るのは骨格、皮下組織、筋肉の動き、皮膚の状態、左右差です。そのうえで、どこに置けば顔全体の見え方が動くかを、解剖学的に決めます。同じアンケートには、ダウンタイムへの配慮もしっかりしてもらった、とありました。仕事に戻り始めたばかりの方にとって、施術のあとの数日をどう過ごせるかは、顔の悩みと同じくらい大事なことです。

施術が終わって、最初に出た言葉

副院長 奥美香子が患者様にヒアルロン酸注入を行っている水彩イラスト

施術を終えてすぐのインタビューで、患者様が最初に口にしたのは、この一言でした。

「感動しました」

続けて話したのは、仕上がりより先に、人のことでした。スタッフの対応が丁寧で、温かかったこと。診察が丁寧で、安心した中で受けられたこと。施術中、痛みに気を配って声をかけてもらったこと。

「一人一人の患者さんを大切に丁寧に見てくださるなという安心感がありました」

たくさん注入を受けてきた人が、最初に挙げたのは「安心感」でした。

「まだ頭が回らない」と言いながら、「まだ頑張れる」

窓辺で上着を整え、一日を始めようとする40代後半の女性の水彩イラスト。更年期の不調から仕事へ戻っていく時期のイメージ

インタビューの途中、患者様は何度か、申し訳なさそうに断りを入れています。

「まだ頭も回らないので、うまくお話もできないですけれども」

仕事はまだ、前の水準の半分くらい。

「なんとか低空飛行でやってる感じです」

体調が戻ったわけではありません。仕事も、元どおりではありません。それでも同じインタビューの中で、施術のあとの気持ちを、患者様はこう話していました。

「気持ちもまだ頑張れるとか、まだ動ける、まだ仕事頑張ろうとか」

全部が良くなってから前を向いたのではありません。低空飛行のまま、もう一度、動いてみようと思えた。その順番でした。

春が来るから、メイクも服も、もう少し

鏡の前でメイクを楽しむ40代後半の女性の水彩イラスト。ヒアルロン酸注入のあと、春の装いを考えている時期のイメージ

これからしてみたいことを聞かれて、患者様が挙げたのはメイクでした。これまでは、メイクにもあまり気持ちが向かなかった。それを少し変えてみようかと思っている、と。

「またちょっと楽しんでみようかなという」

話は、服のことに移りました。

「もう少し春も来るし楽しみたいなという気持ちになりました」

体が痛い、動かないと話していた人が、次の季節に着る服の話をしていました。

同じように、壁にぶつかっている人へ

インタビューの後半、同じ悩みを抱えている人へのアドバイスを聞かれて、患者様はこう話し始めました。

更年期になると、見た目も、体力も、それに伴って気力も落ちてくる。女性にとっては、ライフイベントが急に変わり、壁に突き当たるような経験だと思う、と。

「見た目というところ、外見というのが女性にとってやはり大事だし」

だから、一つの選択肢として考えてみてほしい、と続けました。

「より人生を楽しむ選択肢として」

どれが本当の情報か分からない、と話していた人です。その人が、まだ頭が回らない、うまく話せないと断りながら、自分の経験を最後まで話してくれました。

ここに紹介したのは、ご本人がインタビューとアンケートで語った主観的な感想です。休職や仕事の再開は、更年期の不調を含むご本人の経過として語られたもので、美容医療の効果として示すものではありません。ヒアルロン酸注入は自由診療(保険適用外)で、治療結果や感じ方には個人差があります。

翌年、いちばん嬉しかった一言

副院長 奥美香子と院長 奥謙太郎が、患者様と翌年の治療について相談している水彩イラスト

翌年、患者様はもう一度インタビューを受けています。院長の奥謙太郎による機器治療と、その約2週間後に私が担当した注入を終えた日でした。

いつも出来上がりを想像してから来る、とアンケートに書いています。この日は、その想像以上の仕上がりだった、と。

周りから声をかけられたことはあったか。そう聞かれて、患者様が挙げたのは、夫の言葉でした。

「若々しいね」

そう言われたのが嬉しかった、と話しています。

春の光の中で服を選び、鏡に向かって小さく微笑む40代後半の女性の水彩イラスト。回復し、前向きに進み始めた頃のイメージ

前の年、「まだ頭が回らない」「低空飛行」と話していた人です。

一年後に聞こえてきたのは、いちばん近くにいる人からの一言と、それを嬉しいと話す声でした。

低空飛行から始まった話は、夫の「若々しいね」で終わりました。

写真は、正面と斜めから

同じ患者様の正面と斜めからの写真です。それぞれ左が施術前、右が施術後。画像内では目元を匿名化しています。

TREATMENT INFORMATION

治療について

施術名
Sofwave+ヒアルロン酸注入
診療区分
自由診療(保険適用外)
使用量・部位
ヒアルロン酸の製剤名、注入量、注入部位は、この記事では公開していません。使用する製剤と量、部位は、診察で顔全体のバランスを見て決めます。Sofwaveの照射範囲も診察で決めます。
公式料金の目安
超音波照射機器Sofwave(ソフウェーブ)の本体

Sofwave(ソフウェーブ)

一部位 110,000円〜
全顔+あご下 330,000円
全顔+あご下+首 440,000円

ジュビダームビスタの製品パッケージとシリンジ

ヒアルロン酸注入(ジュビダームビスタ®)

ウルトラプラスXC 1cc 44,000円
ボリューマXC・ボリフトXC・ボラックスXC 各1cc 各88,000円

上記はクリニック公式案内の料金の目安です。今回の患者様に実際に使用した製剤、量、照射範囲、総額を示すものではありません。麻酔代、針代、初診料・再診料などの扱いは、治療前にご確認ください。

主な副作用・リスク
ヒアルロン酸注入では、赤み、腫れ、痛み、内出血、感染、アレルギー反応、凹凸や左右差などが起こることがあります。まれに血管閉塞・塞栓などの重い合併症が生じる可能性があります。Sofwaveでは、照射中の熱感や痛み、照射後の赤み、線状の浮腫、乾燥、皮膚の張り感や違和感などが起こることがあり、まれにやけど、しびれ、内出血が生じる可能性があります。妊娠中・授乳中の方、ペースメーカー等の医療機器を体内に埋め込んでいる方、過去に金の糸の施術を受けた方は照射治療を受けられません。症状が気になる場合は、自己判断で様子を見続けず、クリニックへご相談ください。
未承認医療機器に関する事項
Sofwaveは国内承認機器です(承認番号 30700BZX00082000/一般的名称:皮膚引締め用超音波照射器/承認用途:中等度又は重度の顔面および頸部のしわの改善)。ヒアルロン酸製剤の承認状況は、使用する製品ごとに異なります。治療前に、使用する製剤と承認状況の説明を受けてください。

ヒアルロン酸注入についてよくある質問

更年期で体調が安定しない時期でも、ヒアルロン酸注入の相談をしていいですか?

ご相談いただけます。気になっている顔の変化とあわせて、体調やお仕事の予定もお聞かせください。施術後には腫れや内出血などが出ることがあるため、その期間を踏まえて施術の日程を一緒に考えます。治療の適応は診察で判断します。

以前ほかでヒアルロン酸注入を受けて、満足できませんでした。何が違いますか?

ほかの施術との比較はできません。当院では、骨格、皮下組織、筋肉の動き、皮膚の状態、左右差を診察し、どこに置けば顔全体の見え方が動くかを解剖学的に決めてから注入します。これまでに受けた治療の内容や時期も、診察でお伝えください。仕上がりの感じ方には個人差があります。

ヒアルロン酸注入とSofwaveの費用はどのくらいですか?

公式案内の料金の目安は、ヒアルロン酸注入(ジュビダームビスタ®)がウルトラプラスXC 1cc 44,000円、ボリューマXC・ボリフトXC・ボラックスXCが各1cc 88,000円、Sofwaveが一部位110,000円から、全顔+あご下が330,000円です。実際の費用は、使用する製剤、量、照射範囲によって変わります。麻酔代や針代、診察料の扱いは治療前にご確認ください。

この患者様と同じ変化を期待できますか?

お約束はできません。この記事は、一人の患者様の主観的な語りを紹介するものです。治療結果や感じ方、経過には個人差があります。適応、治療内容、費用、リスクは診察でご確認ください。

体調も仕事も、まだ元どおりではない。それでも、顔の変化が気になっている。横浜あざみ野のヒルズグレイスクリニックでは、体調やお仕事の予定も伺ったうえで、どこに何を置くか、いつ施術するかを診察で一緒に決めます。カウンセリングのご予約はこちら

本記事は、患者様がインタビューとアンケートで語られた個人的な感想をもとに構成しています。実名、施術日、撮影日など個人を特定できる情報は掲載していません。治療結果や感じ方、経過には個人差があり、同じ変化を保証するものではありません。施術内容、費用、主な副作用・リスクは、必ず事前のカウンセリングとクリニック公式案内でご確認ください。本文中のイラストは、ご本人のお写真をそのまま再現せず雰囲気を参考に描いたもので、施術シーンは治療の流れを伝えるためのイメージです。

奥美香子 副院長

奥 美香子(おく みかこ)/ヒルズグレイスクリニック 副院長・形成外科医

年齢とともに起こる変化を、顔面解剖を基盤に、皮膚・脂肪・筋肉・骨格に起こる加齢変化として読み解き、顔全体のバランスから、その方に必要な治療を設計しています。目指すのは、見た目の変化をきっかけに気持ちが前を向き、日々の行動まで軽やかになるような、自然で調和のとれた変化です。診療では、顔の悩みだけを切り取らず、更年期前後に起こる女性ホルモンの変化や、肌・心・体の揺らぎにも目を向けます。40代以降は、肌をつくり支える細胞の働きが変化し、これまでと同じ治療でも十分な反応が得られないことがあります。だからこそ、まず肌が治療に応えられる状態を整える。この考え方を「CrossTALK® protocol」として体系化し、筆頭著者として2025年にJournal of Cosmetic Dermatologyに発表しました。2016年より、ボトックスビスタやジュビダームを展開するアラガン・エステティックス ジャパンファカルティーの一員として、また注入指導医として、医師への教育・指導にも携わっています。「美容医療は患者を幸せにするのか」という問いについては、大学との共同研究を通じて探究を続けています。必要な治療を、必要な順番で、必要な分だけ。年齢とともに変化する顔と人生に寄り添い、長く信頼して相談できる「美容のかかりつけ医」でありたいと考えています。詳しいプロフィール

RESEARCH NOTE

研究記事としての位置づけ

本記事は、「美容医療は人を幸せにするのか」という研究連載の一部です。患者様の個人的な感想を治療効果や安全性の根拠として一般化せず、研究における一つの語りとして紹介しています。

研究目的は、美容医療を受けた患者様が、外見の捉え方、気持ち、日常の行動をどのように語るのかを記述し、施術後の経験と主観的な幸福感の関係を考察することです。一人の患者様の経験だけから、一般的な治療効果や幸福度の変化を結論づけるものではありません。

調査方法は、インタビューとアンケートです。本記事では、施術直後と翌年の2回のインタビュー、および2枚のアンケートで確認できた発言を匿名化して紹介しています。症例写真は、画像内で目元を匿名化しています。

患者様の実名、施術日、撮影日は記載せず、職業など個人の特定につながる情報も掲載していません。記事掲載への同意と症例写真の掲載許諾は、それぞれ確認しています。

Dr.Mikako

ヒルズグレイスクリニック副院長。注入治療のスペシャリスト。美容医療とウェルネスの融合で患者さまの幸せのサポートを使命としている。

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