GRACE JOURNAL
SKINVIVE × Energy-Based Devices セミナー 登壇報告
この記事の要点
2026年7月8日、東京・新宿の京王プラザホテルで開かれたセミナーに、当院の奥謙太郎院長とともに登壇しました。 構想から1年以上をかけて準備し、東京会場に加えて大阪・福岡のサテライト会場とWeb配信で、1000名近い医療者にご参加いただきました。テーマは「Skin Priming(スキンプライミング)」──治療そのものより前に、肌の「土台づくり」が結果を左右するという考え方です。同じ治療でも効き方に差が出るのはなぜか。この記事では、当日の様子と、私が診察室で大切にしていることをご報告します。
はじめに
2026年7月8日、東京・新宿の京王プラザホテルで開催されたセミナーに、当院の奥謙太郎院長とともに登壇いたしました。主催はアッヴィ合同会社アラガン・エステティックス、座長は秋葉原スキンクリニックの堀内祐紀先生。会場に加えて大阪・福岡のサテライト会場とWeb配信を合わせ、全国から1000名近い先生方にご参加いただきました。
この日のために、1年以上をかけて構想を重ねてきました。日々の診療で繰り返し向き合ってきた問いを、真皮のバイオロジーという視点から見つめ直し、注入治療とエネルギーデバイス治療、それぞれの専門の立場から何度も議論を重ねて、一つのストーリーとしてまとめたものです。
講演は二部構成で、第1部を私が、第2部を謙太郎院長が担当しました。当日は多くのご質問をいただき、ディスカッションも活発なものとなりました。
1. 「同じ治療なのに、どうして差が出るのですか」
診察室で、こんなお声をいただくことがあります。
「前に別のところでレーザーを受けたけれど、思ったほど変わらなかった」「治療のあと、赤みがなかなか引かなかった」「友人には効いたのに、自分には効かなかった気がする」。
同じ機器を、同じ設定で、同じように使っていても、肌の反応には差が出ます。私はそれを「個人差」で終わらせたくなかった。限りなく100%に近づける方法はないだろうか──この問いが、今回の研究の出発点でした。
2. たどり着いた答えは、肌の「土台づくり」でした
建築や塗装の世界には「プライマー」という工程があります。塗料を塗る前に、まず下地を塗る。この一工程があるかないかで、密着性も、耐久性も、仕上がりも変わります。
プライマーは、塗料そのものを良くするわけではありません。塗料が最も力を発揮できる土台を整えるのです。
この考え方を肌に応用したのが Skin Priming(スキンプライミング) です。治療の効果を決めているのは、機器の性能だけではありません。それを受け取る肌の側が、反応できる状態にあるかどうかです。だから、いきなり治療を重ねるのではなく、先に肌の土台を整えておく。
講演では、肌の奥で何が起きているのかを、細胞のレベルまで掘り下げてお話ししました。患者さんに知っていただきたいのは、一点だけです。治療の結果は、肌の土台がどんな状態にあるかで変わるということです。
3. 国際誌に報告した、私たちの臨床データ
私たちがこの考え方を患者さんにご提案するようになったのは、実際に検証を行い、その結果を論文として報告してからです。治療内容を知らない第三者が評価する方法で臨床データを集め、国際誌 Journal of Cosmetic Dermatology に掲載されました。
Oku M, Oku K. The Efficacy and Safety of Combining Cross-Linked Hyaluronic Acid Filler VYC-12L and Energy-Based Devices for Facial Skin Quality Improvement in Asians. J Cosmet Dermatol. 2025;24:e70485.
論文の全文を読む →
4. 診察室で、私が大切にしていること
効果と、負担の少なさを両方考える
強い治療をすれば変化は出やすくなりますが、その分ダウンタイム(治療後、赤みや腫れが落ち着くまでの期間)や色素沈着のリスクも上がります。先に土台を整えておくことは、効果を高めるためだけでなく、治療をより穏やかに受けていただくためでもあります。
年齢を理由に、あきらめなくていい
「もう歳だから」とおっしゃる方がいます。確かに、年齢とともに治療への反応は変わります。肌の奥にある真皮(しんぴ)には、コラーゲンなどをつくる線維芽細胞(せんいがさいぼう)という細胞があります。加齢や長年の紫外線によってこの細胞の働きは落ち、同時に、細胞を支える足場となるコラーゲンそのものも減っていきます。足場がゆるむと細胞に伝わる刺激も弱くなるため、同じ治療を同じように行っても、返ってくる反応が変わってくるのです。
ただ、働きが落ちている細胞と、完全に力を失ってしまった細胞とは同じではありません。前者は、周囲の環境が整えば再び働き始めることが報告されています。だからこそ、先に土台を整えておくことに意味があります。
おわりに
今回の講演でお伝えしたかったのは、肌の「土台づくり」の大切さでした。反応できる肌を先につくる。そのうえで治療を行う。この土台があるかないかが、効果にも、安全性にも、そして受けたあとの満足度にも表れてきます。
「思ったほど変わらなかった」「赤みが長引いた」。そうしたご経験は、決してご本人のせいでも、機器のせいでもないかもしれません。土台から見直すという選択肢があることを、知っていただけたらと思います。
当日は多くのご質問をいただき、終了後も予想を超える反響をいただいています。1年以上をかけた構想は、ともに育ててくださったアラガン・エステティックスの皆様、ご参加くださった先生方、そして日々の診療を支えてくれるヒルズグレイスクリニックのスタッフに支えられて、ひとつの形になりました。この場を借りて御礼申し上げます。
Skin Priming という考え方が、患者さんへより良い医療をお届けするための一つの選択肢として、これからも診療のなかで育っていくことを願っています。
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よくある質問
以前レーザー治療を受けて効果を感じられませんでした。私でも変わりますか?
肌の土台の状態によって、おすすめする内容や始める場所が変わることがあります。まずは今の状態を診せていただいたうえで、どこから始めるのがよいかをご相談します。
どんな人に向いている考え方ですか?
治療後の赤みが長引いた経験がある方、複数の治療を受けたけれど手応えが薄かった方、年齢とともに変化を感じにくくなった方などにご説明することが多いです。診察のうえで個別にご提案しています。
痛みやダウンタイムはありますか?
治療内容によって異なります。注入を行う場合は、一時的な赤み・腫れ・内出血が生じることがあり、程度や期間には個人差があります。診察時に目安をお伝えします。
費用はどのくらいかかりますか?
いずれも自由診療(健康保険が適用されない治療)です。内容によって異なりますので、カウンセリングの際にご案内しています。
治療をご検討の方へ
- 効果の程度や持続期間には個人差があります。すべての方に同じ結果が得られることを保証するものではありません。
- 注入治療では、内出血・腫れ・赤み・痛み・しこりなどが生じることがあります。
- 注入治療と機器治療を組み合わせた場合の有効性・安全性、およびどのくらいの期間をあけるべきかについては、まだ検証されていません。
- いずれも自由診療(健康保険が適用されない治療)です。
- スキンバイブ by ジュビダームビスタ(医療機器承認番号 30200BZX00389A01)/【使用目的又は効果】本品は、成人において、顔面及び頸部における小じわ等の表面のへこみ修正及び皮膚状態(保水性、弾力性等)の改善を目的に皮内に注入して使用される。なお、眼瞼、口唇、及び隆鼻術における使用は本品の適応に含まれない。
「以前の治療で手応えがなかった」「何から始めればよいか分からない」。そんなときは、横浜あざみ野のヒルズグレイスクリニックまでご相談ください。 お一人おひとりの肌の状態を診たうえで、土台から一緒に考えます。 カウンセリングのご相談はこちら →








