この記事の要点
口元の線が気になる、という一点から始まった60代の患者様の相談が、診察を経て顔全体を含めたヒアルロン酸注入治療へと変わっていくまでの記録です。決めるまでには、足踏みをした時間もありました。受診のきっかけから施術後に語られた言葉までを、ご本人のインタビューからたどります。記事の終盤に、施術前後の比較写真を掲載しています。
※患者様個人の感想をもとに構成しており、治療結果や感じ方、経過には個人差があります。同様の変化を保証するものではありません。
母の顔にあった線が、自分の顔にあった

手を洗ったあと。顔を洗ったあと。歯を磨いているとき。
洗面所の鏡に、口元から下りていく線が映ります。マリオネットラインと呼ばれる、口角の脇から顎へ向かう線です。
その線を、患者様は前にも見たことがありました。お母様の顔です。母もおばあちゃんになってしまったな、と思ったとき、目に入っていたのがその線でした。それが、そのまま自分の顔に移ってきている。鏡の前に立つたび、同じ線を確認することになりました。
「まだおばあちゃんになりたくないなと思って」
コロナ禍のあいだは、動くこともできませんでした。自由に出歩けるようになったら相談しよう。そう決めたまま、鏡の前の数年が過ぎています。
口元だけのつもりで、診察室に入った

ご本人が来院時に希望されていたのは、口元だけでした。気になっている線を、その線の上で消したい。相談はそこから始まっています。
私は、気になる線をうかがったあと、全体を見るようにしています。骨格、皮下組織、筋肉の動き、皮膚の状態、左右差。順に確認していくと、線そのものが原因のこともあれば、その線を作っている土台が別の場所にあることもあるからです。
そのうえで決めるのは、どこに置けば顔全体の見え方が動くか、という一点です。気になっている線に沿って少しずつ配っていくと、どこにも届かないまま終わります。使える量が限られているときほど、置く場所で差がつきます。

診察でお話しするうちに、ご本人の言葉が変わっていきました。口元だけのつもりで来たけれど、全体が必要だと分かった、と。
どこまで行うかを決めるのは患者様です。ここで、話は一度止まりました。
一瞬、足踏みをした
思い立った瞬間に迷いなく受けられる治療ではありません。相談していた範囲より広い提案を受ければ、なおさらです。
「ここでちょっと一瞬足踏みはしましたけれど」
足踏みを越えた理由として、ご本人が挙げたのは年齢のことでした。残りの時間はそれほど長くない。老化を気にしながら過ごすのではなく、楽しく生きていきたい。だから、いま決める。
症例写真は、事前にいくつも見せてもらっていました。同じ治療を受けた方の、前と後。それでも、自分が鏡を見たときにどう感じるかまでは、想像がつかなかったそうです。
鏡を渡された

終わりましたよ、と声をかけて、鏡をお渡ししました。
「こんなに嬉しくなるのかなって、言葉で言い表せない」
ゆうべの自分。今朝の自分。ここに伺ったときの自分。そのどれとも明らかに違う自分が、鏡で確認できた、と話されました。
朝、洗面所で確認していたのと同じ動作です。鏡を見て、口元を見る。返ってきたものだけが、変わっていました。
CASE PHOTOS
症例写真|正面と斜めから見る変化
正面


斜め


※掲載画像は患者様ご本人の症例です。治療結果、経過、見え方には個人差があります。目元は匿名化しています。
失われたと思っていた時間を、これから使う

ここから何をしていきたいですか、とうかがいました。返ってきたのは、顔の話ではありませんでした。
仕事に一生懸命だった年月があります。介護をしていた年月があります。失われた時間だったのかな、と口にされたあとで、ご本人はすぐに言い直しました。関わった方たち、お世話になった方たちとの時間が必要でなかったとは思っていない。いま自分がここにいるのは、その方たちのおかげなのだから、と。
そのうえで、失われた時間だと思っていたぶんを、これからは自分のために使いたい。そう話されました。
お母様は、昨年亡くなっています。
「母の分まで、私が楽しく残りの人生を生きていきたい」
母も元気だったら、私もそれをする、と言ったと思う。そう続けたあと、これからは自分が感じたことを何でも試していきたい、と話されました。
仕事と介護の年月に対して、ご自身へ返したものだった。今回の治療を、ご本人はそう受け取っておられました。
61歳になった、その翌日でした
診察の終わりに、ご本人がふと教えてくださいました。前の日が誕生日で、61歳になったばかりだったのです。
数か月前まで、鏡に映る線を見ては「おばあちゃん」という言葉が浮かんでいました。同じ鏡を見て、61歳です、と笑って言える。動いたのはそこでした。
TREATMENT INFORMATION
今回の治療について
- 施術名
- ヒアルロン酸注入治療
- 診療区分
- 自由診療(保険適用外)
- 使用量・部位
- 使用した製剤の組み合わせ、注入部位、注入量、施術回数は、この記事では公開していません。
- 経過・アフターケア
- 注入後は通常の生活が可能ですが、24時間は飲酒や激しい運動を控え、1週間程度は注入部位のマッサージや強い圧迫を避けてください。
- 公式料金の目安
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ジュビダームビスタ® ボリューマXC
1.0cc 88,000円
ジュビダームビスタ® ボラックスXC
1.0cc 88,000円
ジュビダームビスタ® ボリフトXC
1.0cc 88,000円
ジュビダームビスタ® ウルトラプラスXC
1.0cc 44,000円
上記はクリニック公式案内の料金の目安です。今回の患者様に実際に使用した製剤や総額を示すものではありません。麻酔代、針代、初診料・再診料などの扱いは、治療前にご確認ください。
- 主な副作用・リスク
- ヒアルロン酸注入では、赤み、腫れ、痛み、内出血、感染、アレルギー反応、凹凸や左右差などが起こることがあります。まれに血管閉塞・塞栓などの重い合併症が生じる可能性があります。症状が気になる場合は、自己判断で様子を見続けず、クリニックへご相談ください。
- 未承認医療機器に関する事項
- 今回の治療で使用したジュビダームビスタ®シリーズは、日本国内で承認された医療機器です。この治療では、未承認の医療機器・医薬品は使用していません。
よくある質問
口元だけを相談したつもりが、顔全体の治療を提案されることはありますか?
あります。気になっている線が、その線の場所だけを原因にしているとは限らないためです。診察では骨格、皮下組織、筋肉の動き、皮膚の状態、左右差を確認し、どこから整えると見え方が動くかをご説明します。どこまで行うかは、ご希望とご予算をうかがったうえで決めていきます。
60代から始めても遅くないでしょうか。
年齢だけで適応が決まるわけではありません。診察では、骨格や皮膚の状態、これまでの経過を確認したうえで、いま何ができるかをお伝えします。適応、効果の出方、経過には個人差があります。
予算に上限があります。先に伝えても大丈夫ですか?
先にお伝えください。上限が決まっていれば、その範囲で何を優先するかを診察の場で一緒に決められます。費用の目安は、この記事の「今回の治療について」に記載しています。
施術後の変化はすぐに分かりますか?
注入直後から見え方が変わることがありますが、腫れや赤みなどの反応が出る場合もあります。経過や感じ方には個人差があるため、診察時の説明をご確認ください。
口元やフェイスラインの印象が気になる方は、横浜あざみ野のヒルズグレイスクリニックへご相談ください。いまの顔に何が起きているかを診察で確認し、どこから整えるとご希望に近づくかをご説明します。
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※本記事は、患者様ご本人のインタビュー動画と症例写真をもとに構成した個人的な体験記です。症例写真を除く記事内の画像(アイキャッチ・章のイラスト・施術イラスト)はイメージで、患者様ご本人ではありません。治療結果や感じ方、経過には個人差があり、同様の変化を保証するものではありません。実際の適応、使用製剤、注入部位、注入量、費用は医師の診察によって異なります。自由診療のため、リスクや副作用について説明を受けたうえで治療をご検討ください。
RESEARCH NOTE
研究記事としての位置づけ
本記事は、「美容医療は人を幸せにするのか」という研究連載の一部です。医療広告ガイドラインに配慮し、患者様の個人的な感想を治療効果や安全性の根拠として一般化せず、研究における一つの語りとして紹介しています。治療を検討する際に必要な情報は、本文中の「今回の治療について」にまとめています。
研究目的
美容医療を受けた患者様が、外見の捉え方や気持ち、日常の行動をどのように語るのかを記述し、施術後の経験と主観的な幸福感の関係を考察することを目的としています。一人の患者様の経験だけから、一般的な治療効果や幸福度の変化を結論づけるものではありません。
調査方法
患者様へのアンケートやインタビューを通じて語られた内容をもとに検討します。本記事では、今回のインタビューで実際に確認できた発言のみを匿名化して紹介し、動画本体は掲載していません。研究全体の対象人数や分析結果を示す記事ではなく、研究で扱う一つの語りを紹介する記事です。
倫理・個人情報への配慮
患者様の実名、施術日、撮影日は記載せず、個人の特定につながる情報も掲載しません。発言の公開許諾を確認したうえで掲載し、研究参加への同意、記事掲載への同意、症例写真の掲載許諾はそれぞれ別に確認します。確認が完了していない情報は、公開原稿には追加しません。








