GRACE JOURNAL
Allergan Symposium 2026(クアラルンプール)参加報告
この記事の要点
2026年7月11日・12日、マレーシア・クアラルンプールで開催された国際教育シンポジウム「APAC & MEA REFINE SYMPOSIUM 2026」「APAC & MEA AA Signature Summit 2026」に、Team Japanの一員として参加しました。 2日間を通じて繰り返し語られたのは、治療技術だけでなく、患者さんの背景や価値観を理解し、一人ひとりに適した医療を考えることの大切さでした。 SKINVIVE(スキンバイブ)に関する講演では、私たちの論文をご紹介いただく機会にも恵まれました。 ここで得た学びを、横浜あざみ野での日々の診療にしっかりと還元してまいります。
はじめに
「何をすればいいのか、分からなくなりました。」
診察室で、こうした言葉を伺うことがあります。美容医療の情報が溢れる時代、選択肢が増えるほど、自分に合うものを選ぶことはかえって難しくなっているのかもしれません。
美容医療は、技術だけでは成り立たない。そのことを改めて実感する2日間でした。
マレーシア・クアラルンプールで開催された国際教育シンポジウム「APAC & MEA REFINE SYMPOSIUM 2026」「APAC & MEA AA Signature Summit 2026」に、Team Japanの一員として参加しましたので、その様子をご報告します。
1. 繰り返し語られた「患者さんを理解する」ということ
今回のシンポジウムで最も印象的だったのは、世界の第一線で活躍する先生方が、注入の手技そのものと同じくらい、診察室での対話——カウンセリングのあり方——を語り合っていたことです。
患者さんがどんな毎日を過ごし、鏡の前で何を感じているのか。その背景や価値観を理解して初めて、一人ひとりに適した治療を考えることができる。国や文化が違っても、この原則は変わらないのだと改めて感じました。
世界の議論の中心が「どの製品をどこに注入するか」から、「患者さんをどう診断し、どの順序で治療を組み立てるか」へ移っていることも、はっきりと感じました。自然な仕上がりは偶然ではなく、診断と順序によって設計されるものだ——という考え方が、各国の演者に共通していました。
「疲れて見える気がする」「なんとなく違う」——診察室で伺う、まだ言葉になりきらない感覚。それを医学的に読み解くことが医師の仕事なのだと再確認できたことは、大きな励みになりました。
2. 更年期前後の顔の変化は、世界共通のテーマでした
シンポジウム全体のテーマは “Two Clocks, One Face”。顔の変化には、年月とともにゆっくり進む時計と、ホルモンの変化や急激な体重の変化などによって速度が上がる時計、2つの時計があるという考え方です。診察で大切なのは「何歳か」ではなく、「いつから、どのくらいの速さで変わってきたか」。私が日々の診察で大切にしてきた視点と重なる枠組みでした。
中でも、更年期前後の女性の顔の変化は、大きなテーマのひとつとして取り上げられていました。
年齢を重ねることで誰にでも訪れる変化に加えて、ホルモンバランスの変化やライフイベントによって、変化の現れ方や速度は一人ひとり異なります。講演では、肌のうるおいだけでなく、骨や脂肪、靭帯(皮膚を支える組織)といった顔の土台にも変化が及ぶという視点から、医学的な知見が整理されていました。
この相談は、私の診察室でも更年期以降に増えます。日本だけでなく世界中の診察室で、同じ悩みに向き合う医師がいる。だからこそ、感覚的に治療を足していくのではなく、変化を読み解いて優先順位を考えることが大切なのだと感じます。
3. 日本の先生方のご登壇と、私たちの論文のご紹介
日本からは加藤聖子先生、今泉明子先生、下島久美子先生がご登壇され、それぞれのご専門に基づいた素晴らしいご講演を拝聴しました。多くの学びと刺激をいただきました。
また、SKINVIVE(スキンバイブ:肌のうるおいや質感——スキンクオリティ——に着目したヒアルロン酸の注入治療)に関する講演では、私たちの論文をご紹介いただく機会に恵まれました。
ご紹介いただいたのは、院長・奥謙太郎とともに発表した論文「The Efficacy and Safety of Combining Cross-Linked Hyaluronic Acid Filler VYC-12L and Energy-Based Devices for Facial Skin Quality Improvement in Asians」(Oku M, Oku K. Journal of Cosmetic Dermatology. 2025;24:e70485/DOI: 10.1111/jocd.70485)です。SKINVIVE(VYC-12L)とエネルギーベースデバイス(レーザーや超音波などの機器治療)を組み合わせた際の、アジア人の肌質改善における有効性と安全性を、当院の日々の診療データからまとめた研究です。
診療から生まれた研究成果を、このような国際的な教育の場で共有していただけたことを、大変光栄に思います。
4. 学びを、診察室にどう持ち帰るか
国際学会に参加すると、新しい技術や知見はもちろんですが、いちばん持ち帰りたくなるのは、意外にも「診察の基本」であることが多いのです。
治療の話に入る前に、その方の話をきちんと伺うこと。変化を読み解き、治療を急がない判断も含めて、一人ひとりの優先順位を一緒に考えること。今回の2日間は、私が診察で大切にしてきた姿勢を、世界基準で確かめ直す時間になりました。
患者さんが求めているのは、輪郭やボリュームの変化だけではなく、「自然で健康的な印象」「疲れて見えない顔」へと変わってきています。まず肌の状態を整え、そのうえで必要に応じて構造にアプローチする——という治療の順序の考え方が世界共通の流れになりつつあることも、心強い学びでした。
そして、アラガン・エステティックス ジャパンファカルティーの一員として、患者さんへより良い医療をお届けするとともに、日本の美容医療のさらなる発展にも微力ながら尽力していきたいと思います。
よくある質問
更年期になると、顔の印象はなぜ変わるのですか?
ホルモンバランスの変化に伴い、肌のうるおいだけでなく、骨・脂肪・靭帯(皮膚を支える組織)といった顔の土台にも変化が起こるためと考えられています。変化の現れ方や速度には個人差があり、診察ではどの変化が印象に影響しているかを読み解いてから、優先順位をご提案しています。
SKINVIVE(スキンバイブ)とはどのような治療ですか?
肌のうるおいや質感(スキンクオリティ)に着目したヒアルロン酸の注入治療です。効果の感じ方には個人差があり、内出血や腫れなどが起こる場合があります。診察でお肌の状態を拝見し、適応かどうかを含めてご相談のうえ判断しています。
カウンセリングでは、何を話せばよいですか?
「疲れて見える気がする」「なんとなく違う」といった、言葉になりきらない感覚のままで大丈夫です。その感覚の背景にどんな変化があるのかを、医師が診察で一緒に整理していきます。治療を急がずに経過を見るご提案をすることもあります。
おわりに
このような貴重な機会をいただいたアラガン・エステティクスの皆様、ご一緒した先生方、そして運営に携わられた皆様に、心より感謝申し上げます。
美容医療は、技術だけでは成り立たない。患者さん一人ひとりの背景に耳を傾けることから、すべては始まる——。この2日間の学びを胸に、また明日から、診察室でお一人おひとりと向き合ってまいります。
※本記事は学会参加のご報告であり、特定の治療効果を保証するものではありません。注入治療は自由診療(保険適用外)です。効果・持続には個人差があり、内出血・腫れ・違和感などのリスクがあります。治療の適応は診察のうえで判断いたします。
顔の変化や治療の選び方に迷われたときは、横浜あざみ野のヒルズグレイスクリニックまでご相談ください。 国際学会での最新の知見をもとに、お一人おひとりの変化を読み解き、自然な治療計画をご提案します。 カウンセリングのご相談はこちら →








