院長 奥 謙太郎|2018年12月11日の講演記録(2026年10月20日に加筆・再構成)
この記事の要点
2018年12月、シンガポールのCentennial Towerで開かれたCynosure APAC Forum(Cynosure社のアジア太平洋地域フォーラム)で、ピコシュアとスカルプシュアの学術講演とライブデモンストレーションを行いました。私たちが投げかけた問いは「同じ機器でも結果に差が出るのはなぜか」。その考え方を講演してほしいという依頼でした。機器の理論から実際の照射・装着の考え方までを各国の医師と議論し、当院の実績に対して表彰もいただきました。理論を理解したうえで治療を組み立てるという考え方は、横浜あざみ野での診療でも大切にしています。

はじめに
シミの治療と肌質の改善を目指すピコレーザー「ピコシュア」と、脂肪の減少と皮膚の引き締めを同時にねらう痩身レーザー「スカルプシュア」。同じ機器を使っていても、治療の結果に差が出るのはなぜなのか――。2018年12月、その答えを「アジア各国のドクターに講演してほしい」という依頼を受け、私はスタッフと共にシンガポールへ向かいました。
1. 私たちの問い「同じ機器で、なぜ結果に差が出るのか」
当時のあざみ野ヒルズスキンクリニック(現 ヒルズグレイスクリニック)では、Cynosure社のピコシュアとスカルプシュアを診療に取り入れていました。今回の依頼は、この2つの機器について、学術講演とライブデモンストレーション(実際の施術を会場で公開して見せる実演)を行うというものです。
機器そのものは同じでも、使い方によって結果は変わります。その違いがどこから生まれるのかが、私たちが投げかけていた問いでした。午前は学術講演、午後はスタッフと共にデモンストレーションという構成です。
ピコシュアは、755nm(ナノメートル)という波長を使うピコレーザーです。この波長は、メラニン(肌の色をつくる色素)を効率よく壊し、周りの血管や細胞を傷つけにくいと考えられています。スカルプシュアは、皮下脂肪にレーザーの熱を届けて脂肪を減らしつつ、皮膚の引き締めも目指す痩身用のレーザーです。

2. 午前の学術講演 ― 機器の理論から治療方法まで
会場はシンガポールのCentennial Tower。各国のドクターが集まる中、さまざまな症例を交えながら、機器の理論から実際の治療方法に至るまでをお話ししました。この日は当院の実績を評価していただき、表彰も受けました。
講演をご一緒したのは、Dr. Hee Su Kim(韓国)、Dr. Shang Li Lin(台湾)、Dr. Chig Hsin Huang(台湾)です。Dr. Linとは、少し前に台湾で開かれたイベントでもご一緒したばかりでした。
講演が終わると多くの質問をいただき、シンガポール、韓国、中国、マレーシアなど、さまざまな地域のドクターと議論を交わしました。

3. 「なぜこの結果になるのか」を問う海外の医師たち
印象に残ったのは、海外のドクターの多くが、機器の学術的な側面に非常に高い関心を持っていたことです。「なぜこの治療結果が出るのか」という問いが続き、日本ではなかなか話す機会のない、かなり深いところまで理論を説明することになりました。
美容医療に携わる者は、機器の使い方を覚えるだけでは足りません。「なぜそうなるのか」「その背景にある理論は正しいのか」を考えながら、治療法を組み立てていく必要があります。
当時の私は、理論をしっかり考え、熟知したうえで治療するからこそ効果が期待でき、それが患者様の満足にもつながると考えていました。
4. 午後のライブデモ ― スカルプシュアは「どこに装着するか」で変わる
午後はスタッフと共に、スカルプシュアのデモセッションを担当しました。実際の患者様の体形とご希望に合わせて、どの部分の脂肪を減らし、どこを引き締めれば美しいボディラインに近づけるのかを考えながら、施術の進め方をご覧いただきました。
デモの後も「ほかの部位はどのように治療すればよいか」「痛みを抑えながら効果をねらえる装着のしかたを知りたい」といった質問が相次ぎました。知識と経験で治療を支えてくれる当院のスタッフと一緒に、一つずつお答えしました。
スカルプシュアは、ただ闇雲に装着すればよいというものではありません。目指すのは、単に脂肪を減らすことではなく、ボディライン全体の形を整えることです。体質や脂肪のつき方によって適した治療計画は変わり、経過にも個人差があります。
そのうえで、装着する位置を決めるときに私たちが見ていたのは、次のような点です。
- 脂肪の厚さ
- 脂肪の硬さ
- 脂肪のつき方
- リンパの流れの方向
5. シンガポールから、横浜あざみ野の診療へ
シンガポールの滞在で強く感じたのは、アジアのドクターたちの美容医療に対するあふれる熱意でした。照射の設定や装着の理由まで踏み込んで話し合える場は、日本ではなかなか得られない機会です。
横浜あざみ野での診療でも、機器の名前ではなく「なぜこの設定、この位置なのか」を説明できる治療計画を立てることを大切にしています。
よくある質問
Cynosure APAC Forumとはどのような会議ですか?
Cynosure社の機器を使うアジア地域の医師が集まり、治療方法や臨床での経験を共有する場です。2018年12月のシンガポールでは、私がピコシュアとスカルプシュアの学術講演とライブデモンストレーションを担当しました。午前は理論と治療方法の講演、午後は実際の施術を公開する実演という構成でした。翌2019年にはマカオとインドネシアでも開かれ、私も講演を行っています。
ピコシュアはどのようなレーザーですか?
ピコシュアは、755nmという波長を使うピコレーザーです。この波長は、メラニン(肌の色をつくる色素)を効率よく壊し、周りの血管や細胞を傷つけにくいと考えられています。フラクショナル照射(細かい点状に照射する方法)を組み合わせて、肌質の改善を目指すこともあります。効果やダウンタイムには個人差があるため、肌の状態を確認したうえで適応を判断します。
スカルプシュアは、装着すれば誰でも同じ結果になりますか?
同じ結果になるとは限りません。脂肪の厚さや硬さ、つき方、リンパの流れの方向などによって、装着する位置や治療計画は変わります。シンガポールのデモでも、患者様の体形とご希望に合わせて装着位置を決める考え方をお見せしました。体質や生活習慣によっても経過は異なり、効果には個人差があります。
おわりに
シンガポールでは、アジア各国の医師と、機器の理論から実際の治療までを議論しました。翌年も、マカオ、インドネシアでのフォーラムで講演する機会をいただきました。これからもスタッフと共に研究を続け、学んだことを横浜あざみ野での診療に生かしていきます。
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