院長 奥 謙太郎|2017年8月2日の講演記録(2026年10月20日に加筆・再構成)
この記事の要点
2017年の日本美容皮膚科学会総会2日目、ランチョンセミナーで、ピコシュアを美容皮膚科の診療にどう応用するかについて講演しました。前日のシンポジウムはシミ治療に絞りましたが、この日はニキビ・ニキビ跡・しわへの応用まで話を広げ、650症例の経験と使ううえでの注意点をお伝えしました。鍵になるのは、FLAT・FOCUS・SPOTという3つの照射モードを、症例に合わせて組み合わせることです。決まった手順に頼らず、肌を見て照射を組み立てるという考え方は、横浜あざみ野での診療の土台になっています。
はじめに
2017年当時、私はピコシュアを、照射の組み合わせ方しだいでシミ以外のお悩みにも使える機器だと考えていました。総会2日目の講演は、その「応用編」をお話しする場になりました。前日のシンポジウムについては、前編にまとめています。
1. 会場の前にできた長い列 ― 2日目のランチョンセミナー
日本美容皮膚科学会総会の2日目、私はランチョンセミナー(昼食時間に行われる講演)で、美容皮膚科診療におけるPicoSure(ピコシュア)の応用方法についてお話ししました。
会場の前には入場を待つ長い列ができていました。ピコセコンドレーザー(ピコ秒=1兆分の1秒という非常に短い時間で光を当てるレーザー)への関心の高さがうかがえました。
前日のシンポジウムでは、ピコシュアを使った色素斑(シミ)の治療に話題を絞りました。この日はそこから一歩進めて、ニキビやニキビ跡、しわの治療への有用性まで含めてお話ししました。
2. FLAT・FOCUS・SPOT ― 3つの照射モードを組み合わせる
ピコシュアには、FLAT、FOCUS、SPOTという3種類の照射法があります。講演の中心に置いたのは、これらを組み合わせる「複合照射」の考え方でした。
シミを狙う照射に、フラクショナル状の照射(光を細かい点状に分けて当てる方法)を組み合わせることで、シミへのアプローチと同時に、ニキビ・ニキビ跡や、真皮変性(肌の奥にある真皮の衰え)を原因とするしわへの改善も期待できます。
講演では、こうした複合照射によって、ダウンタイム(治療後の回復期間)をほとんど伴わずに治療できる可能性があることもお話ししました。肌の反応や回復の経過には個人差があります。
複合照射で照射の対象としたのは、次の3つです。
- シミ(色素斑)への照射
- ニキビ・ニキビ跡への照射
- 真皮の衰えによるしわへの照射
3. 講演で取り上げたお悩みと、症例ごとに変える照射
当時のあざみ野ヒルズスキンクリニック(現 ヒルズグレイスクリニック)では、症例に合わせて複合照射の方法を変えながら治療を行っていました。講演の土台になったのは、前日のシンポジウムと同じく、導入からの650症例の治療経験です。
同じ「ニキビ」でも、同じ「しわ」でも、症例によって照射の組み合わせは変わります。症例ごとに照射の組み合わせが変わることを示すために、症例を紹介しました。治療の結果には個人差があります。
講演では、650症例の治療経験から、次のようなお悩みの症例を取り上げました。
- 日光性色素斑(紫外線の影響でできるシミ)・肝斑(頬などに広がりやすい、もやもやとしたシミ)
- 雀卵斑(そばかす)
- おでこのしわ・目元のしわ
- ニキビ・ニキビ跡
- 毛穴
4. 決まった手順では結果が出ない ― 使ううえでの注意点
講演の後半では、使ううえでの注意点をお話ししました。ピコシュアによる治療は、決まったプロトコル(あらかじめ決めた照射手順)どおりに当てても、よい結果にはつながりません。レーザーについての深い知識と、それを使いこなす技術が求められます。
扱いの難しい機器ですが、技術を身につければ多くのお悩みに対応できる可能性を持っている。それが、当時の私がこの機器に抱いていた率直な評価です。
ピコシュアと出会い、その治療経験を学会で報告できたことを光栄に思っています。講演の締めくくりには、治療結果の向上のための研究を続けていくことをお伝えしました。
よくある質問
ピコシュアはシミ以外の悩みにも使われますか?
2017年の講演では、シミだけでなく、ニキビ・ニキビ跡、しわ、毛穴への応用についてもお話ししました。650症例の治療経験から、日光性色素斑や肝斑、そばかすに加えて、おでこや目元のしわ、ニキビ・ニキビ跡、毛穴の症例を取り上げています。照射の方法を組み合わせることで複数のお悩みに同時にアプローチできる可能性がありますが、適応や効果には個人差があります。診察で肌の状態を確認したうえでご提案します。
ピコシュアのフラクショナル照射とは何ですか?
レーザーの光を細かい点状に分けて当てる照射方法です。講演では、FLAT・FOCUS・SPOTという3種類の照射法を組み合わせる複合照射の考え方とあわせて、シミを狙う照射にフラクショナル状の照射を組み合わせることで、ニキビ・ニキビ跡や、肌の奥にある真皮の衰えによるしわへの改善も期待できるとお話ししました。どの照射をどう組み合わせるかは、肌の状態によって異なります。
ピコシュアの治療にダウンタイムはありますか?
講演では、3つの照射モードを組み合わせる複合照射を、ダウンタイムをほとんど伴わずに行える可能性がある点をお伝えしました。ただし、治療後の反応や回復の経過は、照射方法や照射の組み合わせ、肌の状態によって変わり、個人差があります。治療前に、起こりうる反応やリスクをご説明したうえで方針を決めます。
おわりに
2017年の総会では、1日目にシミ治療、2日目に応用編と、ピコシュアについて2つの角度からお話しすることができました。この講演の内容は、翌年の総会でさらに練り直してお話ししています。また、ニキビへの照射は、2019年のASLMS(アメリカレーザー医学会)で、活動性ニキビに対するピコシュア治療として口頭発表するテーマにもつながっていきました。
シミ・たるみ・肌質のお悩みは、横浜あざみ野のヒルズグレイスクリニックまでご相談ください。診察のうえで、一人ひとりに合った治療の組み立てをご提案します。カウンセリングのご予約はこちら →







