院長 奥 謙太郎|2017年8月1日の講演記録(2026年10月20日に加筆・再構成)
この記事の要点
2017年7月、大阪で開かれた日本美容皮膚科学会総会のシンポジウムで、ピコ秒レーザー「ピコシュア」による色素病変(シミなど)の治療について講演しました。導入から約1年、ピコシュアで治療した650症例の経験をもとに、色の淡いシミや、これまでの治療で変化が止まってしまったシミへの照射の考え方をお話ししました。中心に据えたのは、同じ方の顔の中でもシミごとに照射の条件を変えている、という点です。シミを一つずつ見てから照射を決めるという姿勢は、横浜あざみ野での診療でも出発点にしています。

はじめに
2017年の夏、ピコシュアを導入してから1年間の治療経験を、学会の場でまとめてお話しする機会をいただきました。650症例を通して私が考えていたのは、ピコシュアは決まった手順どおりに当てれば結果が出る機器ではない、ということです。本記事は、その総会1日目のシンポジウムの振り返りです。
1. 3社のピコ秒レーザーが並んだシンポジウム
2017年7月29日・30日の2日間、大阪で日本美容皮膚科学会総会が開かれました。私は29日のシンポジウムで、ピコ秒レーザーによる色素病変(シミなど、肌の色素が関わる変化)の治療について講演し、翌30日にはランチョンセミナー(昼食時間に行われる講演)で招待講演をさせていただきました。
ピコ秒レーザーとは、ピコ秒(1兆分の1秒)という非常に短い時間で光を当てるレーザーのことです。シンポジウムの座長は、今回の総会の会頭でもある近畿大学医学部奈良病院の山田秀和先生と、久留米大学の中野俊二先生が務められました。
このシンポジウムでは、メーカーの異なる3機種のピコ秒レーザーが一つの壇上に並びました。演者と担当した機器は次のとおりです。
- 東京女子医科大学成人医学センターの根岸圭先生:Enlighten(キュテラ社)
- みやた形成外科皮ふクリニックの宮田成章先生:Picoway(シネロンキャンデラ社)
- 奥謙太郎:PicoSure(ピコシュア、Cynosure社)
2. 導入1年・650症例から見えた、ピコシュアと相性のよいシミ
当時のあざみ野ヒルズスキンクリニック(現 ヒルズグレイスクリニック)では、前年の夏にピコシュアを導入し、美肌治療の核として使っていました。この講演では、導入からの1年間にピコシュアで治療した650症例の経験をお話ししました。
当時、ピコ秒レーザーは国内外とも刺青除去に使われることが多く、美肌治療の機器として使っている施設はまだわずかでした。講演では、シミの治療にとどまらず、全顔の毛穴・小じわ・色調に働きかける使い方についてもお話ししました。効果の感じ方には個人差があります。
講演で挙げたのは、次のようなシミです。いずれもカサブタを作らずに、短い期間での改善が期待できるとお話ししましたが、反応には個人差があります。
- 色の淡いシミ
- 従来はカサブタなどのダウンタイム(治療後の回復期間)を伴っていたシミ
- これまでの治療で変化が頭打ち(プラトー)になってしまったシミ
3. 同じ顔の中でも、シミごとに照射径を変える
ピコシュアは、決まったプロトコル(あらかじめ決めた照射手順)どおりに当てれば結果が出る機器ではありません。同じ診断名のシミであっても、症例によって照射方法が変わってきます。ここが、この機器の難しさでした。
私は、同じ方の顔の中でも、シミによって照射径(レーザーを当てる範囲の直径)を変えて照射しています。シミを一つずつ見ながら、照射径を選び直していきます。
講演では、ピコシュアはレーザーについての深い知識と、それを使いこなす技術が求められる機器だとお話ししました。同じ疾患でも症例によって照射方法が異なり、さらに同じ方の顔の中でもシミによって照射径が変わる。650症例の治療を通して、私はこの機器の難しさをそう捉えていました。
4. 感謝状をいただいて、診療に持ち帰ったこと
講演の後、日本美容皮膚科学会より感謝状をいただきました。講演の締めくくりには、今後もピコセコンドレーザー、そして美容医療の発展のために努めていきたいとお伝えしました。Cynosure社の皆様、学会関係者の皆様には、この場を借りて改めて御礼を申し上げます。
今振り返ると、この講演は導入から1年・650症例の経験をまとめてお話しした機会でした。シミを一つずつ見てから照射を決めるという姿勢は、横浜あざみ野での診療でも大切にしています。
よくある質問
ピコ秒レーザーとはどのようなレーザーですか?
ピコ秒(1兆分の1秒)という非常に短い時間で光を当てるレーザーです。2017年当時は国内外で刺青除去に使われることが多く、シミなどの美肌治療に使う施設はまだわずかでした。私はピコシュアを美肌治療の核として用い、導入から1年間・650症例の治療経験を学会で報告しました。適応や効果には個人差があるため、診察で確認します。
色の薄いシミにもピコシュアは使えますか?
講演では、色の淡いシミも、ピコシュアの治療対象として挙げました。カサブタを作らずに改善が期待できるケースがある一方で、反応の出方には個人差があります。シミの種類によって適した治療は変わるため、まずは診察でシミの状態を確認したうえでご提案します。
顔に複数のシミがある場合、すべて同じ設定で照射するのですか?
私は、同じ方の顔の中でもシミごとに照射径などの条件を変えて照射しています。ピコシュアは決まった手順で当てれば結果が出る機器ではなく、同じ診断名のシミでも症例によって照射方法が異なります。そのため、それぞれのシミの状態に合わせて照射方法を選ぶことが大切だと考えています。治療の経過やリスクについても、事前にご説明します。
おわりに
2017年の総会1日目は、ピコシュアによるシミ治療について、導入1年・650症例の経験をもとにお話しした一日でした。翌日のランチョンセミナーでは、シミ以外のお悩みへの応用に話を広げています。後編もあわせてご覧ください。
シミ・たるみ・肌質のお悩みは、横浜あざみ野のヒルズグレイスクリニックまでご相談ください。診察のうえで、一人ひとりに合った治療の組み立てをご提案します。カウンセリングのご予約はこちら →







