講演|日本美容皮膚科学会2024 名古屋 ― ソフウェーブTTT・ピコシュアプロ・ウィンセル

ピコシュア・ピコシュアプロ

ヒルズグレイスクリニック院長 奥謙太郎

監修・執筆:奥 謙太郎

ヒルズグレイスクリニック 院長

皮膚科医/米国レーザー医学会(ASLMS)専門医。エネルギーデバイス治療を専門とし、考案したThermal Thread Technique®はLasers in Surgery and Medicine(2024)に掲載・同誌Top Cited Articleに選出。

院長 奥 謙太郎|2024年8月31日の講演記録(2026年10月20日に加筆・再構成)

この記事の要点

2024年、名古屋国際会議場で開かれた日本美容皮膚科学会で、私は3つのテーマで講演を行いました。ソフウェーブとThermal Thread Technique®(サーマルスレッド法)では「斜め上への引き上げ」と「肌質改善」を同時に目指す方法を、PICOSUREpro(ピコシュアプロ)では8年間の使用経験から照射時の「距離」という基本を、ウィンセル(Windscell)では約1.4nmの水の粒「AIR(アイル)」の仕組みをお話ししました。レーザー治療の安全性が機器だけでなく照射の基本動作にも左右されることを知っていただく手がかりになる内容です。

日本美容皮膚科学会2024の様子

はじめに

「論文で発表されていた方法で照射したのですが、副反応が強く出ました。これは機器の異常でしょうか?」。PICOSUREproの講演では、私がよく受けるこうした質問にお答えしました。2024年の日本美容皮膚科学会で私が担当した3つの講演を、患者様にも読んでいただける形でまとめます。

1. 台風の接近の中、名古屋で3つのテーマを講演

2024年の日本美容皮膚科学会は、名古屋国際会議場で開催されました。台風の接近により、会場まで「たどり着くことができるか」が大きなポイントとなった学会です。新幹線の運休により、急遽1日早く名古屋入りすることになりました。予定の変更を快くお引き受けいただいた皆様に、心より感謝申し上げます。

国内の美容皮膚科領域の大きな学会である本学会で、私は次の3つのテーマで講演を行いました。

  • 講演①:ソフウェーブ(Sofwave™)とThermal Thread Technique®(サーマルスレッド法)の実践とライブデモ
  • 講演②:PICOSUREpro(ピコシュアプロ)の臨床活用術 ― 8年間の経験から
  • 講演③:日本発の機器ウィンセル(Windscell)の技術と仕組み
日本美容皮膚科学会2024の様子

2. ソフウェーブとThermal Thread Technique® ― なぜ「斜め上」に引き上がるのか

Thermal Thread Technique®(以下TTT)は、超音波による「斜め上への引き上げ」と「肌質改善」を同時に目指す技術です。この講演では、Relaxed Skin Tension Line(RSTL:皮膚のしわが寄りやすい方向を示す線)に着目してしわやたるみに働きかける方法を、講演とライブデモで解説しました。

TTTを論文発表してから、講演依頼をいただくことが多くなったのがソフウェーブです。ソフウェーブの特徴は、「活性化する」超音波を用いる点にあります。この機器でTTTを用いると、「斜め上への引き上げ」と「肌質改善」の両方を同時に目指せる、というのがTTTの特徴です。変化の程度には個人差があります。

なぜポニーテールにしたときのように「斜め上に」引き上がるのか。これがTTTのいちばんのポイントです。私たちの皮膚は長い時間をかけてダメージを受け続けていますが、しわやたるみのできる「方向」にはおおよその決まりがあります。これがRSTLです。毎回同じ部分で紙を折ると折りジワがついてしまうのと、同じようなイメージです。

このしわを打ち消すように、超音波による熱エネルギーを「連結して」いくことができると、結果として斜め上に引き上げられるような効果が期待できます。単純そうに思えますが、いざ施術しようとするといくつものポイントをクリアしなければならないため、今回はそのポイントについて重点的にお話ししました。

日本美容皮膚科学会2024の様子

3. PICOSUREpro ― 8年間の使用経験から、照射の「距離」という基本

当院では、2021年にPICOSUREproの第1号機を導入しました。それ以前の2016年から前身機種であるピコシュア(PicoSure)を使用しており、累計で8年間の使用経験があります。

これまでGMI(Global Medical Institute:当院の教育機関)のトレーニングや海外学会での講演を通じて多くの質問を受けてきましたが、その中には共通する疑問が多く含まれていました。今回は、それらの質問にすぐに臨床で活用できる形でお答えするセッションを行いました。座長は、私が敬愛する師である東海大学形成外科の河野教授です。

冒頭の質問について、機器の異常の可能性はゼロではありませんが、非常に低いと考えてよいでしょう。医療機器は安定性が高く、PICOSUREproについても定期的なメンテナンスによって安定性が確保されています。温度や湿度などの外部環境を整えることも、高い安定性を保つうえで大切です。

それ以上に重要なのが、照射時の「距離」です。レーザーのエネルギーが皮膚にどの程度正確に照射されるかは、ハンドピース(レーザーを照射する手持ちの部分)と皮膚表面との距離によって決まります。ハンドピースが皮膚からわずかに離れていると、照射されるエネルギーが術者の意図した2倍程度に増幅されてしまう可能性があり、それが予期しない副反応の原因になります。こうした基本を理解し、注意深く管理することがトラブルを防ぐために重要だとお話ししました。

4. 日本発の機器ウィンセル(Windscell)と、約1.4nmの水の粒「AIR」

3つめの講演は、「そもそもウィンセルとは何か」という基本的な部分からスタートしました。ウィンセルは日本発の機器で、大きな可能性を秘めていると私は考えています。

この機器が使用するのは「水」です。ただし普通の水ではなく、特殊な技術で1.4nm(ナノメートル:100万分の1ミリ)サイズのクラスター(粒の集まり)状に変えられた水粒子で、これをAIR(アイル)と呼びます。このAIRがウィンセルから放出され、肌に働きかけます。

日常的に接する水とはまったく異なり、例えるなら「レーザー」と同じ考え方です。レーザーが光の特定部分を増幅してシミの改善や肌の若返りに利用するように、AIRも水の特定サイズの粒子を抽出して集めたもので、独自の作用を持ちます。

当院では、このAIRをレーザー治療後に使用し、ダウンタイム(回復までの期間)の軽減に役立てています。肌の回復の早さには個人差があります。講演では、AIRの働きとして次の3点をお話ししました。

  • 鎮静(肌を落ち着かせる)
  • 保湿
  • 薬剤導入(有効成分を肌に届ける)

5. 来日した海外の医師たちとの交流

2024年の日本美容皮膚科学会には、レーザー医学の第一人者であるDr. Rox Andersonをはじめ、海外で活躍されている多くの医師が来日されました。海外の学会ではお会いすることが多い方々ですが、日本でじっくりとお話しできる機会は非常に貴重で、大変有意義な時間を過ごすことができました。

今回の学会では、技術に関する知見を共有するだけでなく、新たな刺激と学びを得ることができました。これらの経験を、横浜あざみ野での日々の診療に活かしていきます。

よくある質問

ソフウェーブのThermal Thread Technique®(TTT)とは何ですか?

ソフウェーブの超音波による熱エネルギーを「連結して」いくことで、「斜め上への引き上げ」と「肌質改善」を同時に目指す照射の技術です。しわやたるみのできる方向であるRSTL(Relaxed Skin Tension Line)に着目し、そのしわを打ち消すようにエネルギーを連結していきます。施術ではクリアすべきポイントがいくつもあり、日本美容皮膚科学会2024ではその点を重点的にお話ししました。感じ方や変化の程度には個人差があります。

ハンドピースと皮膚の距離は、なぜ重要なのですか?

レーザーのエネルギーが皮膚にどの程度正確に照射されるかは、ハンドピースと皮膚表面との距離によって決まるからです。ハンドピースが皮膚からわずかに離れているだけで、照射されるエネルギーが意図した2倍程度に増幅されてしまう可能性があり、副反応が強く出る原因になります。機器の異常の可能性は非常に低く、PICOSUREproも定期的なメンテナンスで安定性が確保されています。こうした基本を注意深く管理することが、トラブルを防ぐために重要です。

ウィンセル(Windscell)はどのような機器ですか?

日本発の機器で、特殊な技術で約1.4nmサイズのクラスター状に変えられた水粒子「AIR(アイル)」を放出します。講演では、AIRの働きとして鎮静・保湿・薬剤導入の3点をお話ししました。当院では、レーザー治療後のダウンタイムの軽減を目的に使用しています。肌の回復の早さには個人差があります。

おわりに

日本美容皮膚科学会2024では、ソフウェーブとTTT、PICOSUREpro、ウィンセルという3つのテーマで講演を行いました。気になる治療がありましたら、横浜あざみ野のヒルズグレイスクリニックの診察でご相談ください。

シミ・たるみ・肌質のお悩みは、横浜あざみ野のヒルズグレイスクリニックまでご相談ください。診察のうえで、一人ひとりに合った治療の組み立てをご提案します。カウンセリングのご予約はこちら →

本記事は学会・講演活動の記録であり、特定の治療の効果を保証するものではありません。記載の治療は自由診療(保険適用外)を含み、効果・経過・副作用には個人差があります。一部の医療機器・医薬品は国内未承認です。治療については診察時に適応・リスク・費用をご説明します。
奥謙太郎 院長

奥 謙太郎(おく けんたろう)/ヒルズグレイスクリニック 院長・皮膚科医

シミ・肝斑・毛穴など、肌に現れた悩みに向き合うとき、私が大切にしているのは、症状だけでなく、その症状が生じた肌の状態まで見極めることです。

レーザー・高周波・超音波などの機器は、同じ設定で照射しても、結果は一人ひとり異なります。その差を生むのは、肌が熱を受け止め、治療に応えられる状態にあるかどうか。だからこそ、必要に応じて肌が応えられる状態を整えながら、適切な治療を、適切な順序でご提案します。

この考えを治療設計の起点に据え、「Thermal Thread Technique®」として体系化し、2024年に『Lasers in Surgery and Medicine』誌へ発表しました。同論文は同誌のTop Viewed・Top Cited Articleに選出されています。高周波照射法「Mono-Bi CrossLIFT Technique」および、注入治療と医療機器を組み合わせる「CrossTALK® protocol」も『Journal of Cosmetic Dermatology』誌に発表しています。

米国レーザー医学会(ASLMS)専門医、医療法人社団光悠会理事長。Cynosure社のアドバイザリーボードには日本から唯一参加し、PicoSure Proの開発段階から携わり、第1号機による症例報告も行ってきました。世界最大のレーザー医学会ASLMSやIMCAS ASIA、KOREA DERMAなどの国際学会で招待講演を行い、国際的な医師教育プログラム「GMI」を主宰。海外の医師の指導・育成にも取り組んでいます。

これまでの治療で思うような手応えを得られなかった方にも、なぜその肌にその症状が起きているのかを見極め、必要な治療の順序からご提案します。肌を診て、治療を設計し、経過に合わせて組み立てを更新する。そこまでを含めて、肌治療だと考えています。詳しいプロフィール →

Dr.Kentaro

ヒルズグレイスクリニック院長。レーザー開発に関与し、早く結果を出す最新治療法を考案するマシン治療のスペシャリスト

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