講演|Cynosure APAC Forum 2019 マカオDay.2 ― テンプシュア講演と実演

テンプシュア

ヒルズグレイスクリニック院長 奥謙太郎

監修・執筆:奥 謙太郎

ヒルズグレイスクリニック 院長

皮膚科医/米国レーザー医学会(ASLMS)専門医。エネルギーデバイス治療を専門とし、考案したThermal Thread Technique®はLasers in Surgery and Medicine(2024)に掲載・同誌Top Cited Articleに選出。

院長 奥 謙太郎|2019年6月8日の講演記録(2026年10月20日に加筆・再構成)

この記事の要点

2019年、マカオで開かれたCynosure Asia Pacific Forum 2019の2日目に、RF(高周波)機器テンプシュア Enviの講演とライブデモンストレーションを担当しました。午前のシンポジウムでは、日本での臨床経験と、患者様に合わせて組み立てる照射の考え方をお話ししました。午後のデモでは諮問委員の医師から直接の照射を求められ、セッションは3時間あまりに及びました。高周波機器に私が求める「効果・痛み・安全性」の3つの条件とあわせて、その一日をお伝えします。

Cynosure Asia Pacific Forum 2019 Day.2の様子

はじめに

前日の非公開の会議を終えて迎えた、フォーラム本番の2日目。この日のために準備してきたのが、高周波機器テンプシュア Enviの講演です。高周波機器を、私が何を基準に選び、どのように使っているのか。各国の医師の前でそれを示す一日が始まりました。

1. 高周波機器に求める3つの条件

RF(高周波)機器はさまざまな企業から出ていますが、私は、安全に良い結果を出せる高周波機器は多くないと考えていました。

そこで私たちが高周波機器に求めるのは、次の3つを兼ね備えていることです。

  • パワーが高く、効果が期待できること
  • 施術の痛みが少ないこと
  • 安全性に配慮した設計で、やけどなどのリスクが低いこと
Cynosure Asia Pacific Forum 2019 Day.2の様子

2. 午前のシンポジウム ― 日本での臨床経験を報告

その条件を満たす機器として選んだのが、アメリカですでに高い人気のあったテンプシュア Enviです。当時、当院はアジアで最初にこの機器を導入しており、この日はその臨床経験を報告する役目を担いました。

シンポジウムでは、まずDr. Robert Weiss(米国)がテンプシュアの機械的な特徴を説明し、続いて私が日本での臨床経験をお話ししました。

テンプシュアには、治療に必要な熱をコラーゲンやリフトアップに関わる靭帯(皮膚を支える組織)に届けるための、therapeutic logic control(治療温度を制御する仕組み)があります。皮膚の温度を常に監視しながら、やけどなどの副作用のリスクを抑える設計です。とはいえ、肌の状態や照射のしかたによってリスクがゼロになるわけではありません。

講演では、具体的な治療方法や治療プラン、そして治療の経過をご覧いただきました。終了後には多くの質問や感想が寄せられ、予想以上の反響でした。

Cynosure Asia Pacific Forum 2019 Day.2の様子

3. 午後のライブデモ ― 「私に照射してみて!」

午後のライブデモンストレーション(実際の施術を会場で公開する実演)では、テンプシュア、スカルプシュア、ピコシュア、レブライト、アイコンといったCynosure社の機器を、ボードメンバーがそれぞれ実演しました。私はここでもテンプシュアの担当です。

機器が多いので見学者は分散するだろうと思っていたところ、会場に入ると人だかりができていました。Dr. WeissやDr. Christineもじっと見守る、午前よりさらに厳しい条件でのデモです。患者様に照射しながら、その方に合わせた治療の進め方、なぜこのエネルギーを使うのか、どの程度の熱が必要なのかを説明していきました。

順調に進んで安心し始めたころ、Dr. Christineが笑顔で一言。「私に照射してみて!」。Advisory Boardの中心メンバーである医師に、大勢の聴衆の前で照射する。その責任の重さは、午前のプレゼンテーションの比ではありませんでした。

「もちろん、どうぞ」と引き受けた以上、できる限りのことをしなければなりません。快適な治療にするためのハンドピース(照射部分を持つ手持ちの器具)の動かし方や、エネルギーの変え方を説明しながら進めました。

4. 顔全体への照射、3時間のセッション、そして質疑応答

1領域だけの予定が顔全体へのリクエストに変わり、講演で発表したテーラーメイドトリートメント(一人ひとりに合わせて組み立てる照射)を一通り行いました。前向きな感想をいただいたときには、ようやく肩の荷が下りました。

結局、デモのセッションは3時間あまり続き、終わるころにはエネルギーはほとんど残っていませんでした。ところが最後にもう一度、全体の質疑応答があるとのこと。最後の力を振り絞って壇上に向かうと、予想を超える数の質問に加え、ほかのAdvisory Boardメンバーからも私に質問が寄せられました。

ガラディナーでは、Dr. WeissやDr. Carl(台湾)と同じテーブルに。緊張しつつも楽しい時間を過ごしました。当院の実績を評価していただき、クリスタルの盾もいただきました。

会場では、中国やオーストラリアの先生方、日本から参加された土屋先生とも情報を交換し、本当に最後の最後まで気の抜けないフォーラムでした。

5. 2日間で学んだことと、横浜あざみ野の診療

この2日間で、効果の出やすい治療の仕組みや結果、新しい切り口からの治療法の開発など、日本ではなかなか学べないことを数多く吸収できました。日本での数年分の勉強に匹敵するほど、実りの多い時間だったと感じています。

当時のあざみ野ヒルズスキンクリニック(現 ヒルズグレイスクリニック)で高周波治療を行うときも、「効果・痛み・安全性」の3つを照らし合わせ、患者様一人ひとりに合わせて熱の入れ方を組み立てることを大切にしていました。その考え方は、今の診療にも続いています。

よくある質問

テンプシュアの施術は痛いですか?

テンプシュアは、皮膚の温度を監視しながら治療に必要な熱を届ける設計で、私たちが高周波機器を選ぶ条件の一つにも「施術の痛みが少ないこと」を挙げています。ただし、熱の感じ方には個人差があり、照射する部位や肌の状態によっても変わります。マカオのデモでも、快適に受けていただくためのハンドピースの動かし方やエネルギーの調整を説明しました。詳しくは公式サイトのテンプシュアのページをご覧ください。

高周波(RF)治療で、やけどのリスクはありますか?

高周波治療は熱を利用するため、やけどなどのリスクがないわけではありません。テンプシュアは皮膚の温度を監視しながら照射する設計ですが、肌の状態や照射のしかたによってリスクが生じることがあります。私たちは、安全性に配慮した設計の機器を選び、肌の状態に合わせて熱の入れ方を調整することを重視しています。リスクや注意点は、治療前の診察でご説明します。

テーラーメイドトリートメントとは何ですか?

患者様一人ひとりの状態に合わせて、照射する範囲やエネルギー、熱の入れ方を組み立てる治療の考え方です。マカオのフォーラムでは、この組み立て方を講演で発表し、ライブデモでも一通り実演しました。同じ機器でも、肌の状態によって適した照射は異なります。効果の出方には個人差があります。

おわりに

マカオでの2日間は、会議、講演、デモ、質疑応答と続きました。前日の会議の様子はDay.1の記事で、同じ年の冬にインドネシアで開かれたフォーラムの様子は別の記事でお伝えしています。このような機会を与えてくださった多くの皆様に、改めて心より感謝いたします。

シミ・たるみ・肌質のお悩みは、横浜あざみ野のヒルズグレイスクリニックまでご相談ください。診察のうえで、一人ひとりに合った治療の組み立てをご提案します。カウンセリングのご予約はこちら →

本記事は学会・講演活動の記録であり、特定の治療の効果を保証するものではありません。記載の治療は自由診療(保険適用外)を含み、効果・経過・副作用には個人差があります。一部の医療機器・医薬品は国内未承認です。治療については診察時に適応・リスク・費用をご説明します。
奥謙太郎 院長

奥 謙太郎(おく けんたろう)/ヒルズグレイスクリニック 院長・皮膚科医

シミ・肝斑・毛穴など、肌に現れた悩みに向き合うとき、私が大切にしているのは、症状だけでなく、その症状が生じた肌の状態まで見極めることです。

レーザー・高周波・超音波などの機器は、同じ設定で照射しても、結果は一人ひとり異なります。その差を生むのは、肌が熱を受け止め、治療に応えられる状態にあるかどうか。だからこそ、必要に応じて肌が応えられる状態を整えながら、適切な治療を、適切な順序でご提案します。

この考えを治療設計の起点に据え、「Thermal Thread Technique®」として体系化し、2024年に『Lasers in Surgery and Medicine』誌へ発表しました。同論文は同誌のTop Viewed・Top Cited Articleに選出されています。高周波照射法「Mono-Bi CrossLIFT Technique」および、注入治療と医療機器を組み合わせる「CrossTALK® protocol」も『Journal of Cosmetic Dermatology』誌に発表しています。

米国レーザー医学会(ASLMS)専門医、医療法人社団光悠会理事長。Cynosure社のアドバイザリーボードには日本から唯一参加し、PicoSure Proの開発段階から携わり、第1号機による症例報告も行ってきました。世界最大のレーザー医学会ASLMSやIMCAS ASIA、KOREA DERMAなどの国際学会で招待講演を行い、国際的な医師教育プログラム「GMI」を主宰。海外の医師の指導・育成にも取り組んでいます。

これまでの治療で思うような手応えを得られなかった方にも、なぜその肌にその症状が起きているのかを見極め、必要な治療の順序からご提案します。肌を診て、治療を設計し、経過に合わせて組み立てを更新する。そこまでを含めて、肌治療だと考えています。詳しいプロフィール →

Dr.Kentaro

ヒルズグレイスクリニック院長。レーザー開発に関与し、早く結果を出す最新治療法を考案するマシン治療のスペシャリスト

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