講演|ISDS 2024 台湾・高雄 ― ピコシュアプロとボライト注入で考える「透明感」の肌質改善

肌質改善

ヒルズグレイスクリニック院長 奥謙太郎

監修・執筆:奥 謙太郎

ヒルズグレイスクリニック 院長

皮膚科医/米国レーザー医学会(ASLMS)専門医。エネルギーデバイス治療を専門とし、考案したThermal Thread Technique®はLasers in Surgery and Medicine(2024)に掲載・同誌Top Cited Articleに選出。

院長 奥 謙太郎|2024年9月12日の講演記録(2026年10月20日に加筆・再構成)

この記事の要点

2024年、台湾・高雄で開催されたISDS(国際皮膚美容外科学会)で、大会会頭のDr. Peter Pengからご依頼をいただき、「肌質改善」をテーマに講演しました。お話ししたのは肌の「透明感」に着目したアプローチで、その中核に置いたのが、ピコシュアプロとボライト(現在のスキンバイブ)注入のコンビネーション治療です。レーザーと、ヒアルロン酸を肌に注入する治療という働きの異なる2つを組み合わせ、「明るさ」「ハリ」「透明感」をあわせて目指す考え方で、効果には個人差があります。講演では組み合わせのメカニズムを解説し、各国の医師に興味を示していただきました。

ISDS(国際皮膚美容外科学会)2024の様子

はじめに

「肌質改善」や「肌育」は、日本だけでなく世界的にも注目されているテーマです。2024年、台湾・高雄で開かれたISDS(国際皮膚美容外科学会)で、このテーマをいただいて講演する機会がありました。ここでは、講演でお話しした治療の組み立てと、学会で得た学びをまとめます。

1. 台湾・高雄のISDSで「肌質改善」をテーマに講演

会場は台湾・高雄。ISDS(国際皮膚美容外科学会)の大会会頭であるDr. Peter Pengからご依頼をいただき、「肌質改善」をテーマに講演させていただきました。

その中で私がお話ししたのは、肌の「透明感」を軸にしたアプローチです。その中核を担うのが、ピコシュアプロとボライト注入を組み合わせるコンビネーション治療でした。

ISDS(国際皮膚美容外科学会)2024の様子

2. 一つの治療だけでは届きにくい ― コンビネーション治療という考え方

講演でまずお伝えしたのは、肌質改善は一つの治療だけで達成するのが難しい、という点です。ピコシュアプロはレーザーによる治療、ボライトはヒアルロン酸を肌に注入する治療で、それぞれに異なる特長があります。その特長を組み合わせることで、単独の治療では届きにくい部分を補い合うことを狙います。

2つを組み合わせて目指すのは、「明るさ」「ハリ」「透明感」を兼ね備えた肌です。ただし、どの程度の変化が得られるか、どのくらい続くかには個人差があります。組み合わせ方や順番は、お肌の状態を診察したうえで判断します。

ISDS(国際皮膚美容外科学会)2024の様子

3. ピコシュアプロの役割 ― メラニン・ターンオーバー・質感

講演では、肌質改善の中でピコシュアプロが担う役割を、次の3つに整理してお話ししました。

  • メラニン(肌の色をつくる色素)への作用:特定の波長でメラニンをターゲットにし、シミやくすみの改善が期待できます。
  • ターンオーバー(肌が生まれ変わるサイクル)の促進:古い角質を除去し、新しい肌細胞が生まれるのを促します。
  • フラクショナルモード(細かな点状に照射する方法):微細な刺激がコラーゲン(肌のハリを支えるたんぱく質)の生成を促し、肌全体の質感の向上が期待できます。

4. ボライトの役割 ― 保水・ハリ・トーン

もう一方のボライトは、ヒアルロン酸の注入治療です。レーザーとは働きかける場所が異なり、肌の内側からの潤いやハリを担います。講演では、ボライトの役割も次の3つに分けて説明しました。

  • 保水:肌の内部から潤いを補い、乾燥による小ジワの改善が期待できます。
  • ハリの回復:ヒアルロン酸の働きで、肌に弾力を与えることを目指します。
  • トーンアップ:肌のトーンを均一に整え、明るく透明感のある肌を目指します。

5. FACE-Qという評価方法と、食事の席で得た学び

講演では、2つの治療を組み合わせるときの考え方を解説しました。あわせて、FACE-Q(患者様ご自身の回答をもとに治療結果を評価する指標)という評価方法についても紹介しました。医師の見立てだけでなく、治療を受けた方の側から結果を見るための指標です。

各国の医師にも興味を示していただき、透明感を重視したアプローチが美容医療のトレンドとして注目されていることを実感しました。

ISDSでの学びは、講演の場だけではありませんでした。食事を囲みながらのカジュアルな時間に、「今何が一番注目されているか」「次に取り組むべきテーマは何か」といった話題が飛び交います。こうしたリラックスした交流の中で得る発見は、学会ならではの魅力の一つです。

国際的な場で共有した、透明感を中心に据えた肌質改善の考え方は、横浜あざみ野での日々の診療でも、今後さらに追求していきたいテーマです。

よくある質問

肌質改善は、一つの治療だけでは難しいのですか?

ISDSの講演では、肌質改善は一つの治療だけで達成するのは難しいとお話ししました。そのうえで、レーザーのピコシュアプロと、ヒアルロン酸を注入するボライトという、働きかけるところの違う治療を組み合わせる考え方をご紹介しています。どの治療が合うか、組み合わせるかどうかは、お肌の状態によって異なります。効果には個人差がありますので、診察でご相談ください。

ピコシュアプロとボライトは、それぞれ何に働きかけるのですか?

ピコシュアプロは、特定の波長でメラニン(肌の色をつくる色素)をターゲットにしてシミやくすみに働きかけること、ターンオーバーを促すこと、フラクショナルモードの微細な刺激でコラーゲンの生成を促すことの3つを担います。ボライトは、保水、ハリの回復、肌トーンを整えるという3つの役割です。2つを組み合わせて「明るさ」「ハリ」「透明感」を目指しますが、効果の出方には個人差があります。

FACE-Qとは何ですか?

FACE-Qは、患者様ご自身の回答をもとに治療結果を評価する指標です。満足度を多角的に測る仕組みで、医師の見立てとは別に、治療を受けた方の側から結果を把握することを目的としています。ISDSの講演では、この指標についてもご紹介しました。治療結果の感じ方には個人差があります。

おわりに

ISDSでの講演は、肌質改善に関する考え方を国際的な場で共有できただけでなく、新たな視点やインスピレーションを得る貴重な機会にもなりました。ここで得たことを、横浜あざみ野での日々の診療に活かしていきたいと考えています。

シミ・たるみ・肌質のお悩みは、横浜あざみ野のヒルズグレイスクリニックまでご相談ください。診察のうえで、一人ひとりに合った治療の組み立てをご提案します。カウンセリングのご予約はこちら →

本記事は学会・講演活動の記録であり、特定の治療の効果を保証するものではありません。記載の治療は自由診療(保険適用外)を含み、効果・経過・副作用には個人差があります。一部の医療機器・医薬品は国内未承認です。治療については診察時に適応・リスク・費用をご説明します。
奥謙太郎 院長

奥 謙太郎(おく けんたろう)/ヒルズグレイスクリニック 院長・皮膚科医

シミ・肝斑・毛穴など、肌に現れた悩みに向き合うとき、私が大切にしているのは、症状だけでなく、その症状が生じた肌の状態まで見極めることです。

レーザー・高周波・超音波などの機器は、同じ設定で照射しても、結果は一人ひとり異なります。その差を生むのは、肌が熱を受け止め、治療に応えられる状態にあるかどうか。だからこそ、必要に応じて肌が応えられる状態を整えながら、適切な治療を、適切な順序でご提案します。

この考えを治療設計の起点に据え、「Thermal Thread Technique®」として体系化し、2024年に『Lasers in Surgery and Medicine』誌へ発表しました。同論文は同誌のTop Viewed・Top Cited Articleに選出されています。高周波照射法「Mono-Bi CrossLIFT Technique」および、注入治療と医療機器を組み合わせる「CrossTALK® protocol」も『Journal of Cosmetic Dermatology』誌に発表しています。

米国レーザー医学会(ASLMS)専門医、医療法人社団光悠会理事長。Cynosure社のアドバイザリーボードには日本から唯一参加し、PicoSure Proの開発段階から携わり、第1号機による症例報告も行ってきました。世界最大のレーザー医学会ASLMSやIMCAS ASIA、KOREA DERMAなどの国際学会で招待講演を行い、国際的な医師教育プログラム「GMI」を主宰。海外の医師の指導・育成にも取り組んでいます。

これまでの治療で思うような手応えを得られなかった方にも、なぜその肌にその症状が起きているのかを見極め、必要な治療の順序からご提案します。肌を診て、治療を設計し、経過に合わせて組み立てを更新する。そこまでを含めて、肌治療だと考えています。詳しいプロフィール →

Dr.Kentaro

ヒルズグレイスクリニック院長。レーザー開発に関与し、早く結果を出す最新治療法を考案するマシン治療のスペシャリスト

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